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「オバマ大統領は、広島で変われなかった」 被爆者の怒りと願い

2016/8/6(土) 6:00配信

BuzzFeed Japan

はじめは共感のできる部分が多い、良い演説だと感じていた。「道徳的な革命」「道義的な目覚め」など、使われていた言葉は、自分がこれまで核廃絶を目指して訴えてきたことと、似ていたからだ。

“現代の戦争が私たちにこの真実を教えています。広島は、私たちにこの真実を伝えています。技術の進歩は、人間社会とともに発展しなければ破滅が待っています。原子を分裂させた科学的な革命は、より道徳的な革命も必要とします“

“世界はこの場所で一変しました。しかし今日、この都市の子どもたちは平和な日々を生きています。なんと貴重なことでしょうか。このことは守る価値があり、すべての子どもたちに広げていく価値があります。これは私たちが選べる未来です。広島と長崎が核戦争の夜明けではなく、私たちの道義的な目覚めの始まりだったととして記憶される未来なのです“

「私が考える道義的な目覚めというのは、核兵器を認めないこと。一つの凶器で何人も殺すなんていうのは、世の中では大犯罪でしょ。核兵器というのは無差別に何万人も殺せるんですよ」

「それを使っていいと考えること、黙認すること自体がね、道徳的退廃だと私は昔から言っていたんです。人類がその廃退から脱却しないと、戦争も核兵器もなくならないだろうと」

田中さんはこの面において、オバマ大統領の演説に共感を覚えていた。

英文と和訳をじっくりと読み比べると、違和感はさらに膨らんだ。

「主語がWeなんですよ。私じゃない、私たちなんです。オバマさんの主観のはずなのに、誰のことを指すんだろうと。読み直してもわからない。あの所感のなかに、オバマ大統領はどこにも存在していない。大統領の姿を借りて、とある哲学者がしゃべっているだけ」

オバマ大統領がプラハ演説で「核兵器のない平和で安全な世界」の実現を目指すと宣言してから7年。核廃絶が、遅々として進んでいない。スピーチではそのことへの言及もなかった。

「謝罪はいらない。核をもう使わないというアメリカの方針転換を、広島で果たしてほしかった。核を世界からなくす。その先頭に立つと、示してほしかった」

そう語る田中さんは、「オバマさんには広島で、魂を揺り動かされるような経験をしてもらいたかった」とも言う。

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最終更新:2016/8/7(日) 11:35
BuzzFeed Japan

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