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パン1個をもらいにも行けない。熊本地震で避難した障害者が語る「置き去り」の感覚

2016/10/16(日) 6:00配信

BuzzFeed Japan

避難を拒否されたケースもあった

「災害が起きたとき、障害者にまったく配慮ができていなかった。『特別扱いはできない』として、避難所は一般の人しか使えず、事実上、障害者が排除されることになったのです」

BuzzFeed Newsの取材にそう語るのは、自身も車椅子生活をしている熊本学園大教授で弁護士の東俊裕さん(63)だ。内閣府障害者制度改革担当室長を務めた経験をもつ。

震災直後から障害者支援に乗り出した東さん。4月下旬に「被災地障害者センターくまもと」を立ち上げ、事務局長をしている。センターではこれまで、震災直後の生活援助やがれき撤去、家探しなど、400人を超える人たちを支援してきた。

そうして東さんが支援した人たちの話からは、その現実が見えてくる。

そもそも、障害者にとって「バリアフリー」である避難所は、ほとんどなかったという。
車椅子で使える仮設トイレがない、人がいっぱいで通ることもできない。目が見えない人が移動するための導線がない、耳が聞こえない人たちがいるのに、声による炊き出しの案内しかしない……。

自閉症の子どもが「パニックを起こすから」と、避難を拒否されたケースもあった。避難所での生活が困難ゆえに、避難をあきらめ、損壊した家に戻る人、車中泊を続ける人なども多かったそうだ。

熊本市には、障害者や高齢者などの「災害弱者」が避難するための「福祉避難所」が176カ所ある。約1700人分だ。

東さんによると、熊本市内にいる障害者は約4万2千人。そのうち福祉サービスを受けていない重度の障害者だけでも9千人いたというから、足りていない。

問題は数だけではない

勤め先である熊本学園大学で、避難する障害者が使えるスペースを設けた東さんは言う。

「福祉避難所はある意味、一次避難所にはなり得ないんです。災害が起きれば、障害者は一般の人たちと同じように、身近なところに避難するしかない。福祉避難所の場所すらわからないし、遠くに行くことができるわけでもない」

「避難所で発熱した人が病院に行くように、ある程度災害が落ち着いてからの二次避難所として機能することはあるかもしれません。しかし、『福祉避難所があるなら』と、普通の避難所で障害者を受け入れない理由を与えてしまうことにもなる」

実際、熊本市では、発災から10日間の福祉避難所の利用者は104人にとどまっている。開設できていたのも34カ所だけで、まったく機能していなかった。

これは、多くの障害者たちが、一般の避難所で困難な避難生活を送ったか、避難できていなかった可能性がある、ということを意味している。

東日本大震災直後、東北各地の避難所などを視察してきた東さんはこう感じている。「そこで見た現実が、熊本でもまた、繰り返された」と。

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最終更新:2016/10/16(日) 6:00
BuzzFeed Japan

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