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税制改正から半年、新幹線通勤は現実的なものになるのか?

2016/10/22(土) 9:00配信

THE PAGE

 今年の4月から税制が変わり、会社から支給される定期代や通勤手当が月15万円まで非課税となりました。新幹線通勤できる範囲を大幅に広げ、地方への移住を促進することが目的ですが、これを期に、地方に移住する人は増えるのでしょうか。

週末は地方の生活をエンジョイ。東京からなら静岡、新白河、越後湯沢も対象に

 この税制改正により、新幹線を利用して東京まで通勤するケースにおいて、非課税範囲が100キロから200キロに広がりました。東海道新幹線の場合、静岡県の「静岡」、東北新幹線では福島県の「新白河」、上越新幹線では新潟県の「越後湯沢」などが通勤の対象範囲に含まれます。

 政府がこうした措置を講じたのは、通勤可能な範囲を拡大し、地方に住みながら都市部で働く人を増やすことが目的です。つまり安倍政権が掲げる地方創生の一貫として、地方への定住を促そうというわけです。一部の企業ではこれに呼応し、月額15万円を上限とする新幹線通勤制度を導入したところもあります。

 新幹線通勤であれば、満員の電車で苦しい思いをすることなく、読書をしたり、睡眠に充てたりと、通勤時間を有意義に過ごすことができます。新幹線は意外と遅い時間まで走っていますから、よほどのことがない限り、電車に乗れないということもありません。また、週末は地方の生活環境をエンジョイできるため、うまく活用すれば、メリハリのある生活を送ることができるでしょう。

経済的な利益を得られる人と、そうでない人との間に不公平感も

 一方、こうした措置については異論もあります。政府が住む場所によって実質的に国民の所得を変化させるということになると、経済的な利益を得られる人と、そうでない人との間で不公平感が生じる可能性があります。また災害時には大量の帰宅難民を発生させる可能性があることから、防災上好ましくないという意見も出ています。

 さらに言えば、いくら座れるといっても移動に時間がかかっていることに違いはありません。同じ生活にメリハリを付けるのであれば、会社の近くに住み、通勤時間がなくなった分、家族や友人との時間に充てた方が人間的だという意見もあります。たとえば、ネット企業のサイバーエージェントは、私生活を充実させるという観点から、オフィスから2駅以内に住む社員に対して家賃を補助する制度を設けています。

 どのようなライフスタイルがよいのかは人それぞれですし、会社ごとの方針もありますから、このあたりは多くの選択肢の中から選べる形が理想的でしょう。ただ、政府が税制という形で住む場所を誘導することについては、時代によって環境が変わる可能性があることを考えると、少し慎重になった方がよいかもしれません。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/10/22(土) 9:00
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