ここから本文です

サッカーが好きなのに、地雷で足を失うシリアの子ども。絵本が伝える変わり果てた現実

2016/10/22(土) 11:00配信

BuzzFeed Japan

停戦合意が破綻した、シリア。6年目に入ってしまった内戦は、混迷を極めている。シリア人権監視団のデータによると、死者は今年9月までに30万人。うち民間人は8万6千人以上。1万5千人の子どもたちも、命を落とした。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

内戦のシリアでポケモンGOをしたら 難民アーティストが重ねた日常と死

国外に避難した人たちは480万人を超える。終結の見通しは立っていない。そうした現状を子どもたちに知ってもらおうと、トルコなどでシリア難民支援を続ける国際NGO「AAR Japan」が絵本を出した。

主人公はうさぎの「サニーちゃん」。

シリアの内戦で苦しんでいる子どもたちの話を聞くため、現地を訪れるというお話だ。

空爆で父親がけがをし、働けなくなってしまった家族。地雷を踏んで、脚を失ってしまった男の子。何十日も歩き続け、ドイツにたどり着いた女の子……。

絵のタッチは優しいが、サニーちゃんが出会う子どもたちがする話からは、厳しい現実が伝わってくる。

ストーリーは、どれも実話をベースにしている。

たとえば、地雷で足を失った「アリーくん」。サッカーが大好きだったとつぶやく彼にも、モデルが”たくさん”いる。

5歳の女の子のレザーンちゃんも、その一人だ。

レザーンちゃんは、2年前にシリアで砲撃に遭い、右足を失った。一緒にいた2歳の弟は、その1時間後に亡くなったという。

いまはトルコに暮らしている。同世代の子どもたちに、脚がないことをからかわれるのが、悩みだ。

「どうして私はほかの子たちとは違うの?」

そんな言葉を、泣きながら母親に投げかけるという。父親は路上でパンを売り、なんとか生計を立てているが、その日暮らしの生活が続いている。

物語の後半に出てくるのは、ギリシャと思われる浜辺だ。

危険をおかして、海を渡る人たちはいまだに絶えない。

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の統計によると、今年9月までに地中海を渡ろうとした難民や移民のうち、3211人が船の遭難などで死亡、もしくは行方不明になった。

絵本の本文を書いたAAR Japan理事長の長有紀枝さんは、BuzzFeed Newsの取材にこう語る。

「いま、内戦に苦しむシリアの子どもたちは、ヨレヨレの服を着ていたり、けがをしたりする悲惨な状況に置かれている。でももともとは、この絵本を読む日本の子どもたちと同じように、楽しい生活をしている子たちだったんです」

「数年前には平和なシリアがあった。私たちと変わらない暮らしをしていた人たちがいた。だからこそ線引きをせず、遠い国のことで終わらせないためにも、この絵本をつくりました」

日本の子どもたちに、難民の子どもたちのことを少しでも身近に感じてもらいたい。想像力を養ってもらいたいというのが、この絵本の目的だという。

1/2ページ

最終更新:2016/10/22(土) 11:37
BuzzFeed Japan