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「リカンベント」は本当に危険なのか? 特異すぎる自転車、そのカタチの理由

乗りものニュース 2016/10/22(土) 10:00配信

「リカンベント」が意味するのは?

 2016年10月20日(木)、「リカンベント」という自転車での死亡事故が起きました。亡くなられた漫画家 小路啓之さんのご冥福を深くお祈りいたします。

 この「リカンベント」という自転車、聞きなれない人も多いのではないでしょうか。端的に説明するなら「シートに寝そべる、もしくは、もたれかかるような姿勢で乗る自転車」といえるでしょう。このような形で注目を集めてしまったことは、個人的(守宮尚志:ポタリング・ライター)にも至極残念なのですが、今回はこの「リカンベント」がどのような自転車なのかを綴っていきたいと思います。

「リカンベント」最大の特徴は、まず「見た目」でしょう。おおよそ自転車とは思えない乗車方法、いうなれば路上でサマーベッドに寝転がっているような姿は、ほかのどの自転車とも異なるものです。そして、とにかく「速い」です。筆者はロードバイクにも乗るのですが、乗り慣れていそうなリカンベントのライダーさんには、道を譲ります。

 この一見、無関係そうな「見た目」と「速度」。これこそが最も密接につながった、リカンベント最大の特徴だと考えています。

「最速自転車」のひとつ、ただし条件付き

 自転車に限ったことではありませんが、速度を出すものは常に空気抵抗と戦うことが多いかと思います。自動車や新幹線、飛行機における流線形も、その観点から生まれた部分が多くあるでしょう。しかし、自転車においては乗車する人間の、人体そのものの形を変えることは困難であり、姿勢を変えることで空気抵抗を減じるしかありません。

 ロードバイクなどではハンドルの下側を持ち、前傾姿勢を強めることである程度、空気抵抗を軽減することは可能ですが、それでも地面と垂直に立った人体は、大きな空気抵抗を受ける要素になってしまいます。

 しかし、地面とできる限り水平に乗車すれば、著しく空気抵抗が下がるはず。これを体現するのがリカンベントであり、とにかく「速い自転車」だといえる根拠になっています。

 もちろん、いついかなる場合でも最速、ということにはなりません。リカンベントの弱点は「登り」といわれています。通常の自転車であれば、立ちこぎで全体重をかけてペダルを踏み込むことができますが、リカンベントでは、それが非常に難しくなっています。つまり、登りや静止状態からの漕ぎ出しなどは、リカンベントにとって不利な状況ということです。

 また、その著しく特徴的な乗車姿勢は、通常の自転車と比べ多くの違いをもたらします。一般的にですが、「遠方は確認しやすい反面、足元が見づらい」「楽な姿勢で疲れにくいが、段差やギャップの吸収がしづらい」「高速安定性に比べて低速での安定が難しい」「自動車などから見えにくいため、旗などを立てる必要がある」といった、さまざまなメリット、デメリットが存在します。

 とはいえこれらデメリットは、シートの高さや形状が異なるもの、あるいは3輪のものを選択するなどによって吸収できることもありますし、つまるところ重要なのは、その形状や特性に合わせた安全対策を講じることで、それができれば、ことさら危ない乗りものではないと感じています。

 以前、筆者は一度だけリカンベントに乗車したことがありますが、そのときに感じたのは「非日常」でした。

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最終更新:2016/10/24(月) 12:49

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