ここから本文です

人間にしか指せない将棋はありますか? 棋士11人に聞くソフトへの愛憎

2016/10/24(月) 6:00配信

BuzzFeed Japan

プロ棋士の1人が、対局中に将棋ソフトを使用して“カンニング”した可能性があるとして、年内の公式戦への出場停止処分が下された。

【写真特集】う、美しすぎる……素晴らしきケーブルの芸術たち

名人に並ぶタイトルマッチ「竜王戦」にも挑戦者として出場する予定だった。数日前に出場者変更なんて、異例の処遇だ。

事態は将棋界にとどまらず、テレビや新聞、週刊誌も巻き込んだ「スマホ不正」スキャンダルとして、連日報道されている。

「へえ、人間はもうコンピュータに頼らなきゃいけないんだ」なんて反応を見た。将棋ソフトの強さがプロが頼れるレベルになったのはこの数年のことで、一昔前には「人間に追いつくのはまだまだ先だろう」という楽観があった。取り巻く環境は随分変わった。

だからこそ、急すぎる(と言っても、テクノロジーの世界はそういうものですが)進化にどんなスタンスを取っているかは棋士によって本当にさまざまだ。単なる賛成、反対ではなくて、それは戸惑いも含めた「愛憎」としか言えないように思う。

「棋士の存在価値はどうなるのでしょうか」

ソフトが凄まじい速さで進化し続けている現状をどう感じているか。ソフトとどんな距離で付き合っているか。そして「将棋指し」という職業はこれからどうなっていくか。

11人の現役棋士へのロングインタビューをまとめた本が「不屈の棋士」(著・大川慎太郎)だ。

表紙には「人工知能に追い詰められた『将棋指し』の覚悟と矜持」という言葉が踊る。本を開く前から重い。

羽生善治三冠、渡辺明竜王というプロの中でも最高峰の2人をはじめ、積極的にコンピュータ将棋を学び取り入れている棋士、実際にソフトと対戦して敗北を喫した棋士、「強い相手」としてコンピュータとの対局を望む棋士、ソフトでの研究や学習に否定的な棋士、それぞれのタイプに複数人ずつインタビューしている。

「トップ棋士とソフトは、今どちらが強いと思いますか?」「対局相手がソフトを使っているか気になりますか?」「ソフトとの共存共栄は可能だと思いますか?」「人間にしか指せない将棋はあるのでしょうか?」「ソフトが棋士の実力を完全に上回った時、棋士の存在価値はどうなるのでしょうか?」

どの棋士も言葉を選びながら、それでもかなり赤裸々に答えているのに驚く。それくらい切実で、常に目の前に突きつけられている、考えることから逃れられない問題なのだろう。

1/2ページ

最終更新:2016/10/24(月) 6:00
BuzzFeed Japan