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JR北海道が赤字3線区を廃止との報道、路線存廃の目安となる指標は何か?

2016/10/27(木) 9:00配信

THE PAGE

 JR九州とJR北海道が対照的な状況となっています。JR九州は25日、株式を東証一部に上場し、初値が公募価格を上回りましたが、同じ日、JR北海道は赤字の3線区を廃止する方針を固めたと報道されています。

路線存廃の目安となる指標は「輸送密度」

 今回、廃止検討が報道されたのは、札沼線の北海道医療大学―新十津川間、根室線の富良野―新得間、留萌線の深川―留萌間の3つです。これ以外についても、輸送量の少ない線区については自治体と存続について協議する方針です。

 JR北海道では路線を存続させるか廃止するのかの目安として輸送密度という指標を用いています。これは1日、1キロあたりの平均輸送人員を示したもので、500人未満の路線は利用者数がかなり少ないと認識されることになります。

 今回、検討対象となっている北海道医療大学―新十津川間の2014年度における輸送密度は81人、富良野―新得間は155人、深川―留萌間は177人でした。同じく留萌線の留萌-増毛間については39人とさらに少ない人数でしたが、この区間についてはすでに今年の12月5日の廃止が決まっています。

 もし今回、深川-留萌間についても正式に廃止となった場合には、留萌線はすべての区間が消滅することになります。このほか、輸送密度が200人以上2000人未満の線区についても自治体と協議を行うと報道されていますから、今後も路線廃止が加速する可能性は高いでしょう。

JR北海道全線のうち輸送密度が2000人未満は過半数

 JR北海道が赤字路線の廃止を進めているのは、同社が慢性的な赤字体質から脱却できていないからです。JR北海道の鉄道部門における2016年3月期における営業収益は768億4700万円でしたが、売上高の1.5倍を超える経費(1251億2700万円)がかかっており、営業損失は483億円にも達します。これでは経営を続けていくことは不可能ですが、同社には民営化の際に政府から付与された経営安定基金と呼ばれる資金があります。

 この資金を独立行政法人に高利で貸付け、得られた金利を使って赤字を補填する仕組みになっており、2016年3月期は358億円の金利収入で赤字の穴埋めをしています。これは事実上、政府からの補助金と考えてよく、同社は税金による補填がなければ、経営はまったく立ち行かない状況なのです。ちなみにJR北海道全線のうち輸送密度が2000人未満の線区は過半数に達しています。

 こうした状況に追い打ちをかけるように、8月の台風では各路線に甚大な被害が発生してしまいました。残念なことですが、JR北海道はもはや様子を見るということができないところまで追い込まれているというのが現実です。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/10/27(木) 9:00
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