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賃上げに前向きなのは政府だけ? 物価や景気の見通しは厳しく

2016/10/28(金) 9:00配信

THE PAGE

 来年の春闘に向け、労働組合の中央組織である連合がベースアップ(ベア)の要求を今年と同じ2%にとどめる方針を明らかにしました。これに対して、何と安倍政権の側から要求が低すぎると不満の声が上がっています。労働組合は労働者の要求を会社に突きつけるのが本来の役目ですが、企業側はもちろん、労組ですら2%以上の賃上げは難しいと考えていることになります。物価が上がると信じているのは、もはや政府だけなのかもしれません。

ベア2%の要求に、政権は低すぎると不満の声

 安倍政権は2%の物価上昇を実現するため、3年連続で財界に対して賃上げを要請しています。財界側は本意ではなかったようですが、安倍政権の強い意向を受け、賃上げを受け入れてきました。労組は基本的に賃上げを求める立場ですから、不思議なことに、右派ともいわれる安倍政権と左派の代表である労働組合の意見が一致していたわけです。

 ところがこうした奇妙な蜜月関係も終わろうとしています。ベアの要求を2%にとどめるという方針が示されると、麻生財務大臣は閣議後記者会見で「もっと上がってもおかしくない状況にあるのではないか」と不満を表明し、さらには「何となくそこらに押さえ込まれたのかなという感じはします」と述べ、強い要請があったのではないかとの見解も示しました。

経営も労組も物価動向は厳しい見解で一致か

 財界と連合でどのような話をしているのかは知る由もありませんが、経営側と労組側で物価動向に関する厳しい見解で一致しているのは間違いないようです。これ以上、ベアの要求はできないと労働組合が認識しているわけですから、物価や景気の見通しはかなり厳しいと考えてよいでしょう。

 実際、最近の物価動向は散々です。総務省が発表した8月の消費者物価指数は、代表的な指数である生鮮食品を除く総合(いわゆるコア指数)が前年同月比でマイナス0.5%でした。物価がマイナスになるのはこれで6カ月連続ですから、すでにデフレと呼んでもよい状況です。

 この先、すぐに景気が回復し物価が上昇する見込みは低いですから、企業は設備投資に対して極めて慎重になっています。こうした状況では、さすがの労組も3%や4%の賃上げを要求するのは難しかったものと思われます。労働組合ですらここまで物価に対して慎重ということですから、日本は本当にデフレに逆戻りしてしまうのかもしれません。賃上げに前向きなのはもはや政府だけとなりつつあるようです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/10/28(金) 9:00
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