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「不況と好況の循環」は、なぜネットの経済ニュースでは掴めないのか?

2016/11/4(金) 15:00配信

THE PAGE

対応する経済指標の動きはネットの経済ニュースでは軽視されがち

 さらに、それぞれの要素には、対応する経済指標があります。例えば需要のうち輸出入なら「貿易統計(財務省)」を見ることで状況を知ることができます。生産は「鉱工業生産指数(経済産業省)」、個人消費なら「全世帯家計調査・消費支出(総務省)」などが対応します。

 景気が今、どのような状況にあるのかや、この先どうなるのかを考えるには、フローチャートのそれぞれの項目が、今どうなっているのかをニュースから読み取り、頭の中で経済の全体像を描く必要があります。

 例えば個人消費が伸びているのであれば、企業はこれから増産体制に入る可能性が高いことがわかります。さらに、その先には利益の拡大や賃金・雇用の増加が予想できます。実際にそれを示すニュースが出てくれば、次は消費や投資がどれだけ需要を拡大するか、が焦点になるわけです。

 このように、経済を理解するには、一つの国の中で企業や個人が、景気についてどのような見通しを持ち、どのように活動しているのかを、ニュースや統計から読み取る必要があります。そして、そうした情報を得るうえで、ポータルサイトは決して便利だとは言えません。

 試しに、この1カ月、Yahooニュースやスマートニュースなどの「経済」コーナーで、上記のような情報をどれだけ目にしたかを思い浮かべてください。おそらく、経済統計で言えば日経平均株価や国内総生産(GDP)についての記事が、いくつか掲載された程度ではないでしょうか。経済指標は大きな変化があったときくらいしか、目立つ場所に掲載されることはないのです。これに対し、紙の新聞では、主要統計は必ず掲載され、毎日紙面を見ていれば、見逃すことはありません。

 この連載の第1回でも述べたように、ポータルサイトの経済ニュースは暇つぶしに読んだり、仲間と話題にするための「旬のニュース」を仕入れたりするには便利なツールです。しかし、経済の現状をチェックするのに必要な指標を定点観測したり、上記のフローチャートの各項目に当てはまるニュースに満遍なく目を通したりするには、あまりにも情報が偏りすぎているのです。

 ポータルサイトで経済ニュースを読んでいると、「経済の流れ」に疎くなります。経済がどういうパターンを描いて変化しているかを学んだり、今起きていることから次の展開を読んだりするには、それらの情報が定期的に掲載される紙の新聞の方がずっと適しています。ポータルサイトで経済ニュースを娯楽として読むのは、紙の新聞で経済を読み解く基礎体力を養ってからでも遅くないでしょう。

【連載】ネットで経済ニュースを読むのはおやめなさい(報道イノベーション研究所・代表取締役・松林薫)

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最終更新:2016/11/4(金) 15:00
THE PAGE