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優雅に激しく 大阪城東・諏訪神社の幻想的獅子舞

2016/11/6(日) 13:04配信

THE PAGE

優雅に激しく 大阪城東・諏訪神社の幻想的獅子舞 撮影:岡村雅之 協力:諏訪神社獅子地車保存会 編集:柳曽文隆 THEPAGE大阪

 巨大な獅子が全身の毛を揺らしながら舞い踊る。ときに優雅に、ときに激しく。ふたりの舞い手が息を合わせて一体になってこそ、獅子にいのちが宿り、血が通う。400年の歴史を超えて受け継がれ、文化財にも指定されている幻想的な奉納獅子舞を取材した。

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秀吉が戦勝報告のため一対の獅子を奉納

 大阪市城東区の諏訪神社。今年は10月22日、23日に秋祭りが開かれた。境内の縁日に明かりがともるころ、氏子たちが続々と集まって、獅子舞の始まりを待つ。獅子舞の血脈は地名が記憶する。

 400年あまり前、天下統一を急ぐ豊臣秀吉が大坂城を築く。長期的な国家運営を見据え、交流の拠点となる大坂に天下無双の城を構えた。天下統一の総仕上げに、失敗は許されない。1590年(天正18)、秀吉は大軍勢を率いて一路東へ。目指すは関東の雄北条が陣取る小田原城。いわゆる「小田原攻め」である。現在放映中のNHK大河ドラマ「真田丸」でも、ドラマ中盤の重要局面として描かれていた。

 最後の強敵北条を打倒した秀吉は、天下統一の慶事を独り占めしない。大坂城の東に位置する諏訪神社を、秀吉は東の守護神と敬ってきた。小田原攻めの戦勝を報告し、雌雄一対の獅子を奉納する。城東区諏訪神社の獅子舞は、秀吉奉納の獅子から始まった。

総毛の毛獅子で威厳と美景を併せ持つ

 天下人ゆかりの獅子だけに、勇壮な号を持つ。雄が「白豊号」、雌が「白雲号」。獅子舞では雌雄の連れ舞いも演じられたと伝わるが、1885年(明治18)の淀川大水害で、「白豊号」が流失。以来、「白雲号」だけが受け継がれてきた。

 特筆すべきは号だけではない。全身が長い体毛に覆われている総毛の毛獅子だ。和紙を幾重にも張り合わせて造型し、漆を丹念に塗り込める一閑張りという伝統技法で仕上げられている。全身を覆う体毛には、馬の尻尾の毛だけを使用。獅子の頭は赤く、胴体は黒。たてがみや前脚、尻尾は白い。

 毛並みや長さをそろえた絶妙の出来栄えで、奉納獅子舞にふさわしい威厳と美景を併せ持つ。赤と黒と白の獅子が気負い立ち、身をかがめ、躍動する。迫真の臨場感が観衆の心を奪う。

 半面、舞いが激しいだけに、獅子の傷みが進むと、保存が危うくなりかねない。2001年、現存獅子を修復したうえで、新たに同じ伝統技法でレプリカを製作。保存と獅子舞を両立させる態勢が確立した。

 総毛の毛獅子は兵庫県内に分布しているが、大阪府下で伝わるのは諏訪神社だけで、全国的にも珍しい。03年には諏訪神社獅子地車保存会による「諏訪神社の獅子舞」が、大阪市無形民俗文化財の指定を受けた。毎年秋祭りにレプリカ獅子で獅子舞が奉納されるとともに、保存獅子は祭りの期間中、社務所で一般公開されている。

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最終更新:2016/11/6(日) 13:04
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