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音楽業界の常識を打ち破ったピコ太郎、ネットに柔軟なビルボードにも注目

2016/11/11(金) 9:00配信

THE PAGE

 ピコ太郎の「ペンパイナッポーアッポーペン(PPAP)」が全世界で大ブレイクしましたが、ヒットまでの経緯を見ると、これまでの日本の音楽界における常識では考えられないことばかりです。

そもそもピコ太郎って?

 ピコ太郎は、お笑い芸人の古坂大魔王が扮するキャラクターで、千葉県出身のシンガーソングライターという設定になっています。PPAPは、ヒョウ柄のマフラーを巻いたパンチパーマのオヤジが、コンピュータ・ゲーム風の音楽をバックに、踊りながら「ペンパイナッポーアッポーペン」という意味不明のフレーズを繰り返すわずか1分の作品です。志村けんなど従来型コメディアンの芸風や、ユーチューブで世界的にブレイクした韓国のアーティストPSY(サイ)による「江南スタイル」に近い要素も含まれています。

 今年8月に、制作費10万円で動画を作成しユーチューブにアップしたところ、ツイッターやインスタグラムなどで拡散され、あっと言う間に多くの人に知られることとなりました。拡散は海外まで波及し、著名歌手のジャスティン・ビーバーがツイッターで紹介したことから全世界でブレイクすることになったわけです。

 その後、米ビルボードのシングルチャート(10月18日)で77位にランクイン。花形であるシングルチャートとしては、1990年に松田聖子が米歌手とのデュエットで54位に入って以来26年ぶりの快挙となりました。

音楽業界の常識を打ち破ったピコ太郎

 今回のピコ太郎のブレイクはこれまでの音楽業界の常識をすべて打ち破ったといってよいでしょう。古坂大魔王はエイベックスに所属するプロとはいえ、従来の販促ツールは一切使わず、ネットの拡散のみによって今回のヒットが実現しています(ちなみにピコ太郎を全世界に広げたジャスティン・ビーバー本人もユーチューブへの投稿から世界的なスターにのし上がったひとりです)。1分の小作品であり、今後も継続して世界レベルで活動できるかは未知数ですが、少なくとも日本からユーチューブで世界的にブレイクするアーティストが出てきたのは事実です。

 これと並行して、ネット時代の環境を柔軟に取り込んだビルボードについても注目が集まっています。ビルボードは世界でもっとも権威のある音楽ランキングですが、2013年にランキングの集計方法を変更しました。CD売上げやラジオのオンエア回数といった従来の指標に加え、現在ではユーチューブや有料聴き放題サービスでの再生回数も評価指標となっています。ネット社会への対応が早く、ピコ太郎のようなCDを出さないアーティストのヒットもしっかりとランキングに取り込むことによって、ビルボードはその高い権威を維持できているわけです。

 日本は、世界でも珍しく音楽コンテンツの販売においてCDが圧倒的に高い割合を占めるガラパゴス市場といわれます。ピコ太郎がCDを出していない歌手であることを考えると、日本のような市場構造はそろそろ限界に来ているのかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/11/11(金) 9:00
THE PAGE