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世論調査覆した米大統領選 既存政治への不満「隠れトランプ票」に

2016/11/9(水) 20:45配信

THE PAGE

 米大統領選で共和党候補のドラルド・トランプ氏が9日(日本時間)、勝利宣言をした。事前の世論調査では、最終盤にトランプ氏が猛追を見せたものの、民主党のヒラリー・クリントン氏が優勢との見方だったが、それを覆す勝利となった。トランプ氏はなぜ勝利できたのか。アメリカ研究が専門の慶應義塾大学SFC教授、渡辺靖氏は、米国民の既存政治への予想以上の憤りが背景にあると分析する。

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反クリントン感情が根強く

 渡辺氏は「いま米国社会は変革を求めた」とみる。「トランプ氏の暴言や過去の疑惑、スキャンダルはあったが、やはり変革を求める声が強かった。そういう意味ではクリントン氏に不利だったのではないか」。

 クリントン氏が勝利すれば、米国初の女性大統領の誕生になり、それはそれで「変革」になるようにも見える。ただビル・クリントン元大統領の妻で、オバマ政権でも国務長官を務めたエスタブリッシュメントの象徴である彼女に対して、「反クリントン感情が根強かった」という。「クリントン氏はワシントンでインサイダーとして30年間働いてきたが『米国は何一つ変わらなかった』というトランプ氏のメッセージが思った以上に国民に響いた」。

 今回の選挙結果は、米政治の専門家にとっても予想外だった。世論調査では補正作業が入るため、「米国民の憤りの深さが測り得なかった。『隠れトランプ』票を世論調査では把握できなかった」と、既得権益への不満が予想以上だったと指摘した。

 「専門家を含めてトランプ氏の勝利を根拠を持って予測した人はいなかった。非常に衝撃的」。6月に英国がEU離脱を選択した住民投票でも同様に世論調査と異なる結果になったが、「Brexit(ブレキジット)の再来が起きた」と評した。

 渡辺氏は米最高裁判事の人選にも注目した。トランプ氏が大統領になることで、ここに保守系の人物を据えることができる可能性がある。トランプに投票した人たちはそこに期待して「人柄には目をつむって投票したのではないか」という。また、トランプ氏の選挙資金がクリントン氏の半分程度にもかかわらず勝利した点にも驚きを隠さない。「これ自体が驚異的。選挙は資金力がないと勝てないという常識を覆した」。

 トランプ氏は選挙期間中、メキシコ国境に壁を作る、ムスリムの米国入国を拒否する、在日米軍の撤退示唆など、さまざまな発言をしてきた。トランプ新政権の今後については「(発言が)どこまで本気か分からない。分析するための『変数』がたくさんあるので、予測は難しい」と語った。

最終更新:2016/11/9(水) 21:35
THE PAGE