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電通過労自殺、母親が語った社会への願い 「命より大切な仕事はありません」

2016/11/9(水) 18:17配信

BuzzFeed Japan

「大切な娘は二度と戻ってこない」

「社員の命を犠牲にして業績を上げる企業が日本の発展をリードする優良企業といえるでしょうか」と語気を強めた幸美さん。

電通社員の心得としても知られる「鬼十則」の「取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……」に触れ、こうも述べた。

「命より、大切な仕事はありません。娘の死はパフォーマンスではありません。フィクションでもありません。現実に起こったことなのです」

「娘が描いていたたくさんの夢も、娘の弾けるような笑顔も、永久に奪われてしまいました。結婚して子どもが生まれ、続くはずだった未来は、失われてしまいました」

さらに言葉に力を入れ、続ける。

「私が今、どれだけ訴えようとしても、大切な娘は二度と戻ってくることがありません。手遅れなのです」

「自分の命よりも大切な愛する娘を突然亡くしてしまった悲しみと絶望は、失ったものにしかわかりません。だから同じことが繰り返されるのです」

命を預かっているという責任

この事件を受け、電通では22時消灯や残業時間の上限削減など、長時間労働への対策が進んでいる。

これを意識してか、幸美さんは同社の経営陣に向け、「社員の命を預かっているという責任感を持って本気で改革に取り組んでもらいたい」と訴えた。

「残業時間削減を発言するだけではなく、根本からパワハラを許さない企業風土と、業務の改善をしてもらいたいと思います」

「政府には国民命を犠牲にした経済成長第一主義ではなく、国民の命を守る日本に変えていただくことを望みます」

その願いは、体の底の方から絞り出されたかのように力強い声で、語られた。

自死に至った3つの理由

シンポジウムでは、高橋さんの遺族代理人を務める川人博弁護士も講演し、自殺に至るまでの経緯を説明した。

そのうえで川人弁護士は、「彼女がなぜ死に至ったのかには、3つの理由があります」と、以下の3点を示した。

・深夜までの長時間労働の過労と睡眠障害

・上司による適切な労務管理がおこなわれておらず、パワハラと評価して差し支えないような言動があった

・会社全体として労務管理システムがきちっと機能していなかった

なかでも、3番目の「会社全体としての労務管理」に言及。「具体的にいえば、36協定で70時間とされていた残業時間を大幅に上回っていた」と批判した。

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最終更新:2016/11/9(水) 21:45
BuzzFeed Japan