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「反トランプ」に肩入れしすぎた?米メディア 自国しか見ない米国人

2016/11/12(土) 11:00配信

THE PAGE

 ドナルド・トランプ氏が勝利した米大統領選。米メディアの世論調査では、ヒラリー・クリントン氏が優勢とされていたが、それが覆された結果となった。国際政治学者の六辻彰二氏は、その要因の一つに、米メディアの報道姿勢を挙げる。

【写真】世論調査覆した米大統領選 既存政治への不満「隠れトランプ票」に

現状に不満を持つ層の反感を買う?

 今回の大統領選では、新聞やテレビを含めてメディアの多くがトランプ批判に傾いていた、と六辻氏は指摘する。

 米メディアは一般的に「保守寄り」と「リベラル寄り」に党派性が出る傾向にある。しかし今回は、共和党支持のメディアまでトランプ氏を批判するなど「反トランプ」の方向に振り切れていたという。

 六辻氏は、現状の政治や社会に不満を持つ人たちにとっては「逆効果になるのでは」と感じていた。その立場からすると「トランプを追い詰めようとした」と反感を買う可能性があるからだ。結果、「メディアの肩入れは、逆にトランプ氏に有利に作用した」とみる。

白人だけでなく各階層にトランプ支持者

 トランプ氏は、メキシコ国境に壁を築く公約を掲げるなど、反移民的な発言を繰り返してきた。六辻氏は、人には心の奥底に「封印していたもの」があるが「トランプはその『タガ』を外してしまった」と分析する。こうした発言は、実際に口にした時点である種の「カタルシス」になる。トランプ氏に投票した人たちは、彼が自分たちの「代弁者」だと感じた。六辻氏は「それだけアメリカは病んでいる」と語る。

 これは何もトランプの主な支持層といわれる白人低所得者だけではなく、ヒスパニックや黒人ら各階層でこうした「鬱積した問題」を抱えているという。彼らには現状をひっくり返したい願望があり、今回の選挙は「多くの米国民がその不満や情念をそのまま叩きつけた結果」だと振り返る。

 ただ有権者の多くは、当選後にトランプの公約が本当に実現するのか、彼の主張を実行したら世界で何が起きるのかまでは考えないという。米国人は自国が大国すぎて「国内しか見ない人が多い」(六辻氏)からだ。トランプ氏からすれば、ここまで不満を叩きつけた米国民に対して良識ぶった対応はできない。「部分的に公約を実行に移して国民の満足感を引き出すのではないか」と予想する。

 今後、トランプ氏が実際にこれまでの発言をどこまで実行するかは現段階では不明だ。だが政策の遂行次第では「世界的な不安定化につながる」と懸念する。

最終更新:2016/11/12(土) 12:46
THE PAGE