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「トランプ支持者は理解できない」で終わり? メディアが見誤った彼らの感情

2016/11/11(金) 9:17配信

BuzzFeed Japan

「なぜ、トランプ氏が支持されるのか。メディアがわかっていなかった。それ自体が、アメリカの『分断』です」。東京大学教授で、アメリカ研究を教える矢口祐人さんはこう指摘する。【BuzzFeed Japan / 石戸諭】

アメリカのピエロ騒動について、これまでに分かっていること

トランプ支持の理由を掴めないメディア

2016年11月8日(現地時間)。次々と入ってきた開票速報に、主要メディアのキャスター、記者たちは明らかに困惑していた。事前の世論調査でも、出口調査でも優勢が伝えられたヒラリー・クリントン氏ではなく、アメリカの主要メディアがこぞって批判したトランプ氏が票を獲得していく。

混乱や戸惑いはメディアに、市場に、ネット空間に広がっていく。矢口さんはこう話す。

「トランプ氏が分断を広げたんじゃない。元からあったのに目を向けなかった。メディアはどうせ、こんな人物が大統領になるわけはないと過激な発言をセンセーショナルに取り上げてきたではないですか」

高学歴のインテリと非インテリ、人種、科学と信仰、大金持ちと貧困層、保守とリベラル……。アメリカに分断自体は、ずっとあったと矢口さんは考えている。例えば進化論。

「アメリカはノーベル賞級の科学者が大量に生まれる一方で、進化論を否定する人もかなり多くいます。聖書の創造論を科学的に正しいとする、創造科学の信奉者たちですね。政治家にも信奉者がいます」

「トランプ支持者」の視点からみることができなかった

構図はやや極端だが、今回の大統領選と根底では通じている。問題は分断があることではなく、その中で対話が存在しないことにある、と矢口さんはみる。

「トランプ支持者の中心にいるのは、都市に住まない、白人労働者で学歴はそれほど高くない層です。今回、主要メディアの報道をみても、彼らの目から現在のアメリカがどう見えているのか。こうした報道はほとんどなかった」

「つまり、都市に住んでいるインテリは彼らを理解しようとせず、自分たちがト
ランプを批判すれば、支持は落ちると思っていた。結果が示しているように、実際は違ったわけです」

進化論と創造科学と同じように「なぜそれが間違っているのか?」は、それぞれの立場からみれば自明、しかし相手が何を考えているのかわからない。

メディアはその架け橋になるべきだったのに、インテリ層、都市に住むホワイトカラー層など特定の層にしか響かない言葉で、トランプ氏を批判しただけだったのではないか。

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最終更新:2016/11/11(金) 9:17
BuzzFeed Japan