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政府がAI産業の支援に本腰、これでAIは普及するの?

2016/11/15(火) 9:00配信

THE PAGE

 政府がAI(人工知能)の普及を目指して本格的に動き始めました。優先的に進める戦略分野と工程表が提示されており、産学連携の促進や人材育成、税制対応などが検討されています。ただ、AIについては、AIそのものの産業化という側面だけでなく、企業や家庭がAIを活用して生産性を向上させるという別の面の効果もあります。政府の政策はAI産業に偏り過ぎているという指摘もあるようです。

 政府は11月2日、構造改革徹底推進会合を開催し、AIの産業化へ向けた工程表の素案を示しました。優先的に対応を進める戦略分野として健康、医療・介護、空間の移動、セキュリティ、生産性の4つが選定されました。産業化する時期としては「短期」(現在~2020年)「中期」(2020年から2030年)「長期」(2030年以降)の3つに分け、段階的にAIの普及を進めるとしています。正式な工程表については、2016年度中に取りまとめを行い、来年半ばに策定する成長戦略に盛り込まれます。

 AIの普及によって産業の仕組みが大きく変わることは多くの識者が指摘しています。しかしAIの開発については、米国やドイツなどが先行しており、日本は少し出遅れた状態にあります。先行する国に追い付くためには、政府による援助は重要な役割を果たすことになるでしょう。

 ただ、今回提示された工程表は、AI産業そのものに対する支援という色彩が濃いものとなっています。独居老人の見守りサービスや介護ロボット、位置情報システムを使った広告配信システム、自動運転車の開発といった事例が示されていますが、多くはAIを使った製品を開発する事業者向けのものです。

 しかも、広告配信システムや自動運転といった技術はすでに米国などの先行企業が巨額の投資を行っており、後発の日本にとっては参入が難しい分野といってよいでしょう。

 AIが普及すれば、AIを開発する事業者のビジネスが拡大することになりますが、AIが社会や経済にもたらす影響は、むしろAIを使う側の方が大きいともいわれます。AIが導入されることによって企業の営業活動が効率化されるといった効果が期待され、それはあらゆる業種に及びますから、最終的な経済効果は莫大なものになります。日本企業の長時間残業の問題もAIの導入で一気に解決できる可能性もあるわけです。

 その点において、今回の工程表は直接的なAI産業に偏り過ぎているとの声もあります。AIを使うと企業が得をするような税制など、もう少し幅広い対応を検討した方が相乗効果が大きくなるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/11/15(火) 9:00
THE PAGE

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