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GDPプラスはデフレのおかげ、日本経済はアベノミクス前に逆戻りか

2016/11/14(月) 20:07配信

THE PAGE

 内閣府が7~9月期のGDP(国内総生産)を発表しましたが、予想に反してプラス0.5%(年率換算でプラス2.2%)成長となりました。大手メディアは「3四半期連続のプラス成長」と景気回復をアピールしています。生活実感からはとても景気がよくなっているようには感じられないとの声が多いのですが、この直感は当たっています。生活実感とGDPが大きく乖離したのは、日本経済が完全にデフレに戻ってしまったことが原因です。

 通常、GDPは物価の影響を除いた実質値で議論します。実質GDPを算出するためには、名目GDP(数字をいじらない生のGDP)から物価上昇率を差し引いて求められます。なぜこのような計算をするのかというと、GDPがいくら上昇しても、その分、物価も上がってしまえば生活水準は向上しないからです。

 しかし、実質値を計算するという処理を行ってしまうと、別の問題も生じることになります。名目GDPが変わらず、物価だけが下がってしまうと、実質GDPの数字がプラスになってしまうのです。先ほど、実質GDPを算出する場合には、名目GDPから物価上昇率を引けばよいと説明しましたが、物価上昇率がマイナスの場合はマイナスのマイナスですからプラスになります。

 確かにGDPの理論上はその通りなのですが、物価が継続的に下がっているということは、不景気でモノが売りにくいということです。各社は値引きをして何とか販売数量を稼いでいる状況であり、これではいくら実質GDPがプラスでも豊かとはいえません。

 今回発表された7~9月期のGDPの中身をよく見てみると、名目GDPの数値はプラス0.2%でほとんど上昇していません。個人消費はマイナス0.1%、民間企業の設備投資もマイナス0.4%です。

 しかし、同じ期間における消費者物価指数は、代表的指標の生鮮食品を除く総合(コア指数)において3カ月連続のマイナスを記録しています。GDPの算出に用いる物価調整指数と消費者物価指数は必ずしも一致しませんが、GDPを計算する上では、物価は0.3%ほどマイナスになっていると計算されています。

 つまり、日本経済は完全にデフレに逆戻りしており、この分だけ実質GDPはゲタを履かされているわけです。エコノミストの事前予想はプラス0.2%程度でしたが、今回はエコノミストの予想の方が生活実感に近かったようです。

 安倍政権が発足する前、日本は長いデフレに苦しんでいましたが、実質GDPはプラス成長になることも少なくありませんでした。その秘密は今回とまったく同様、物価が下がっていることによるGDPの底上げです。こうした事態を打開するのがアベノミクスだったはずなのですが、残念ながら政権発足以前の状態に逆戻りしてしまったといえるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/11/14(月) 21:36
THE PAGE

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