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【インタビュー】大友啓史監督、映画『ミュージアム』――「小栗君が主人公の沢村を演じてくれるならという想いは強かった」

トレンドニュース(GYAO) 2016/11/16(水) 15:46配信

巴亮介の戦慄(せんりつ)のサスペンス漫画を、映画『ハゲタカ』や『るろうに剣心』シリーズなどを手掛けた大友啓史監督が実写映画化した『ミュージアム』が公開中だ。「道徳的にみても救いがなく、後味が悪い」という原作を、いかにしてポジティブな意味を内在し、映画として成立させたのか――。大友監督に話を聞いた。

『ミュージアム』劇場予告編映像>>

■得体のしれない恐怖を描いてみたかった。

――いろいろな意味で、非常に難解な漫画の実写化だと思いますが、監督のオファーが来たとき、率直にどんな思いだったのでしょうか?

大友:道徳的にみたら相当キツい作品だし、読後感として後味も良くない。救いも用意されていない。今のご時世、救われたがっている人が多いと思いますからね、どういう風に映像化したらいいのか当初は正直悩みました。それと同時に、原作自体たぶん『セブン』や『ソウ』、『オールド・ボーイ』などの映画がルーツなんじゃないかなって思ったんですが、そういう映画に刺激された漫画を映像化するときに、どこに映像作品としてのオリジナリティを依拠すればいいのかなって。

――そんな思いのなか、どこに折り合いをつけて映像化に向かっていったのでしょうか?

大友:主人公が絶望的に追い込まれていくシチュエーションは、プロットとしては抜群に面白いですよね。危害を加える方の悪意がなかなか見つからない、被害を受ける側も、私刑と称して殺害までされる理由が思い当たらない。どこに因果関係があるのか、そもそも因果関係があるのかどうかわからない。なのに、突然降ってわいたように自分に不幸が襲いかかってくるかもしれない不安って、今の時代、多くの人が抱えているんじゃないかと思ったんです。ネット上で悪意なくつぶやいた一言が、見知らぬ人から総攻撃を受けて炎上するなんてしょっちゅうある。そういった、どこから矢が飛んでくるかわからない得体のしれない不安とか恐怖そのものを、カエル男という存在をメタファーとして描けるのではないかと。

――小栗さんの出演にもこだわったとお聞きしました。

大友:そうですね。小栗君が主人公の沢村を演じてくれるなら......という想いは強かったです。この作品は家族の物語であり、小栗君自身、お子さんが一番かわいい時期だろうし、沢村を演じる上でも、そういう想いが乗るんじゃないかなって思ったんです。まあそういったことを抜きにしても、彼とはこのタイミングで是非手合せしてみたかったですしね。

――いま大友監督がおっしゃったように、本作は家族の物語として、しっかりとした人間ドラマが根底にあるように感じました。

大友:この作品の場合どうしても突出した残酷描写に目が行きがちなのですが、僕はもともとドラマ屋なので、ジャンルが違えど、人間そのものと彼ら彼女らが繰りなすドラマに興味があります。小栗君や、尾野(真千子)さん、妻夫木(聡)君といった今まさに脂の乗り切った俳優たちに参加してもらうからには、彼らが全身全霊で演じるに値するモチーフを用意して、思う存分力を発揮してもらいたい。原作には、登場人物たちが限界まで追い詰められるシチュエーションが用意され、確かにその芽があると思いました。相当な荒治療だけれど、沢村はカエル男と対峙(たいじ)することによって、妻や子供との関係を見つめ直すきっかけを与えられた、そういったポジティブな解釈も可能ですからね。

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最終更新:2016/11/16(水) 15:46

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