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マイナス金利下で「預貯金」 ポートフォリオ理論ではありえない選択

2016/11/23(水) 10:00配信 有料

THE PAGE

 ポートフォリオとは、もともとアーティストや作家の画集や作品集などを意味します。画家の場合は作品内容をまとめた折りかばんのことをいいます。それに対し資産ポートフォリオとは、個人が所有する全ての資産を明記した一覧表です。それには所有する有価証券、出資金、預貯金、加入保険、家屋や不動産などすべてであり、負債があれば、それらの内容も含まれます。そのように総合的に個人資産をどのように扱うべきかが本来の課題です。しかし、この連載は金融資産の蓄財方法を検討する狭義のポートフォリオに限定し、その前提となる手法を述べます。

 金融資産を運用するに当たって、投資家は常に投資の利回りと、それを求めるにはいかなるリスクを取らなければならないかを考えます。この連載では、すでに市場別および時間別分散投資の効用を説明してきました。その効果は常識的にも理解できますが、今後はより理解を深める考察をご提供していきます。(解説:あおぞら証券 顧問・伊藤武)


  ポートフォリオの最も基本的な考えとは?

  ポートフォリオ理論研究の経済学者多数がノーベル経済学賞を受賞しています。受賞内容は主として、計量的に市場の投資効率を高める手法を立証したものです。

 最も基本的な考えとは、「市場価格はあらゆる情報の結集であり、すべての情報を織り込んだ結果生じる数値」であることです。これが基本的な「効率投資理論」です。この理論に基づくと、投資専門家の分析に基づく銘柄選択の効用はゼロです。チンパンジーに全銘柄表を提示し、その中から任意に銘柄を選ばせた場合、一定期間においてどちらの選択が優れているかの確率はどうなるでしょうか。結論は、まったく同じか、チンパンジーが選択する銘柄の方が勝っています。例えば、トヨタ自動車株が大変有望だと専門家が指摘した場合、株価はその情報をその時点で織り込み、ほかの銘柄群の株価を凌ぐことは統計的にはないとの理論です。

  もう一つ認識すべき投資理論は相関関係に対する認識です。リスクの大きい投資資産間でも、逆相関関係にある資産、または相関の少ない資産群に投資することにより、リスクそのものを大きく減らすことができます。

 例えば、21世紀初頭から、米国株と中国株の双方に投資をしてきた場合、2008年に発生した世界金融危機までの期間では、中国株の株価が大きく上昇し、リーマンショック後世界株価が急落した後、株価回復はアメリカが先行し、中国は遅行しています。16年間双方に投資してきたならば、いずれかの一市場に投資するよりも効率の高い結果を得られています。

 それ以外にも、金は金融資産全般に対し、最も相関の低い資産として知られています。地政学的要因などに、世界証券市場がさらされると、ほぼ例外なく金の価格が上昇しています。資産間や市場間の分散は投資に大きな効果を与えます。逆に相関関係の強いリスク投資は、リスクを高め、投資効果を引き下げてしまいます。日本では、一時新興国投資が賑わい、ブラジル、南アやトルコの株が注目を受けました。もしこれら3カ国に投資していたら、損失を助長した結果が生じています。本文:5,790文字 この記事の続きをお読みいただくには、THE PAGE プラスの購入が必要です。

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最終更新:2016/11/23(水) 10:00
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