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木箱にこだわり、長野で44年続くリンゴの品評会

2016/11/26(土) 22:20配信

THE PAGE

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 リンゴの出荷盛んな26日、長野市篠ノ井の共和園芸農協でリンゴの木箱にこだわる「サンふじ」の品評会があり、県内外からの買い出し客でにぎわいました。リンゴ作りの原点は木箱のリンゴにあるという同農協の強いこだわりで「木箱の品評会」は44年続く伝統のイベント。参加するリンゴ農家の結束も固いことで知られています。

1箱では段ボールより8キロ重い18キロに

 この日は共和園芸農協の集出荷施設でリンゴ祭りの売り出しも兼ねて品評会を開催。地元のリンゴ農家から木箱のリンゴ77点の出品があり、果樹栽培の専門家、学校の先生、駐在さんなど地域のさまざまな顔ぶれの40人が審査員になりました。

 木箱に入ったリンゴは3段重ねで、50個前後。同農協技術指導員の榎田(えのきだ)宗一郎さんによると、今年は春先の凍霜害、夏の雨不足、9月の長雨、10月の曇天続きなど悪条件が重なり、出品数も昨年の100点より減りました。それでも真っ赤に熟れたリンゴが木箱にあふれるばかり。一家族で2点以上出品する熱心な農家もいました。

 特賞のリンゴは一箱の木箱分で2万2000円、金賞は2万円、銀賞は1万8000円で引き取られていきました。現在使われているリンゴ用の段ボールはリンゴを入れて10キロ前後の重量ですが、木箱の容量だと18キロ前後になる、と同農協。

 品評会の木箱使用へのこだわりについて同農協は「童謡の『りんごのひとりごと』の歌詞に、わたしはまっかなリンゴです……箱につめられ汽車ポッポ、とあるように木箱がリンゴ生産の原点であり、それはリンゴへの愛情とロマンの象徴だからです」と説明しています。

 戦後はリンゴの木箱を机代わりに勉強した子供がいたり、きれいに包装紙を張り付けて整理箱代わりに使われるなど、家庭でも重宝がられたこともあるリンゴ箱。リンゴの輸送も段ボールに替わった今では忘れ去られていますが、木箱の歴史は信州のリンゴの里に生きているようです。

 同農協は組合員313人と小規模ですが、リンゴの出荷は年間4500トンに上ります。リンゴ農家が95%ほどを占めているため、リンゴ栽培について協力し合う気持ちや協調態勢が強い(榎田さん)。品評会を見守っていたリンゴ農家によると「リンゴ農家の息子たちが会社員の場合も、退職間際に家族からリンゴ作りを教わって家業を引き継いでいくケースが多い」。

 農家の人たちは「それでも後継者がこれから問題になってくると思うが、今の自分たちはとにかく頑張る」と、「木箱のリンゴ」の誇りを話していました。

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■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説

最終更新:2016/11/26(土) 22:20
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