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トヨタが電気自動車の量産化を検討、その背景と懸念点は?

2016/11/28(月) 15:00配信

THE PAGE

 トヨタが従来のエコカー戦略を大きく転換させようとしています。これまで力を入れてこなかった電気自動車の量産化について検討を開始したと報じられました。トヨタの思い切った決断にはどのような背景があるのでしょうか。

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諸外国ではEVがエコカーの主役

 トヨタ自動車は11月17日、電気自動車(EV)の開発を担う社内ベンチャーを発足すると発表しました。専門部署を設置し、1回の充電で300キロ以上を走行できる高性能のEVを開発します。これは同社のエコカー戦略に関する方針転換を受けた措置と考えてよいでしょう。

 これまで同社は、次世代のエコカー戦略について、ハイブリッド車(HV)と燃料電池車(FCV)を中核製品として位置付けてきました。特にFCVについては、日本の国策にもなっており、全国に水素ステーションを建設する計画も浮上しています。

 しかし諸外国ではEVがエコカーの主役という流れが強くなっており、FCVは劣勢に立たされています。最終的にどの方式が主流になるのかはまだ分かりませんが、少なくとも、全世界がFCVとHVで統一されるという形にはならないと思った方がよいでしょう。世界最大の自動車メーカーであるトヨタにとって製品ラインナップの中にEVがないというのは大きなマイナスとなります。EVが予想外にその立場を強めてきたことから、トヨタとしてもEVを積極的に取り込む必要性が出てきたわけです。

カギを握る米国市場の動向

 特に同社が懸念しているのは米国市場の動向です。トヨタの国内販売はもはや全体の4分の1に過ぎず、稼ぎのほとんどは海外市場です。その中でも米国は同社にとって主戦場であり、米国の市場動向に経営を合わせていかなければトップの座を維持することはできません。

 米国ではエコカーに対する期待感が強く、環境意識が特に強いカリフォルニア州では、販売台数の一定割合をエコカーにするという規制もあります。従来はHVもエコカーの対象でしたが、2018年からは対象外となってしまい、トヨタはHVをエコカーとして打ち出しにくくなりました。こうした動きが拡大した場合には、EVを持っていない企業は不利になってしまうでしょう。

トランプ氏はエコカーの普及に消極的?

 もっともトランプ大統領の誕生で米国はまったく逆の方向を向くのではないかとの指摘も出ています。トランプ氏は石油業界と近く、エコカーの普及には消極的とされます。しかし米国がどのような政策を示すにせよ、トヨタは北米市場でクルマを売らなければ業績を維持できません。同社が米国の政策に対して神経質になる展開は今後も続きそうです。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/11/28(月) 19:34
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