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神保町の顔だった書店消える、世界屈指の書籍エコシステムはどうなる?

2016/11/30(水) 13:00配信

THE PAGE

 東京・神田神保町のランドマーク的な書店だった「岩波ブックセンター」を運営する企業が破産しました。神保町は200店近くの書店や古書店が集積している世界最大の本屋街です。その顔のひとつともいえるお店が消えてしまったことから、多くの本好きが落胆しています。

 岩波ブックセンターは、神保町交差点のすぐ近く、ミニシアターとして有名な岩波ホールの隣にある書店です。その名の通り、岩波書店の書籍を多数取り揃える店として有名で、岩波の書籍については流通しているものであれば、ほぼすべてが手に入るともいわれていました。このほか、あまり部数の出ない人文・社会学系の書籍に強く、読書人を中心に根強い人気があったお店です。

 この書店を運営していたのは、信山社という会社で、実は出版社の岩波書店とは資本関係はありません。しかし、信山社の会長だった柴田信氏は、神保町の顔ともいわれる存在で、書店や出版関係者の団体である「本の街・神保町を元気にする会」をリードしてきました。その柴田氏が今年の10月に心不全のため亡くなってしまい、事業の継続が困難となりました。最終的には破産という道を選ぶ以外に方法はなかったようです。

 神保町は、小学館や岩波書店といった老舗の大手出版社、三省堂や書泉などの大型書店、さらには中小の書店や、数多くの古書店が一箇所に集まっており、本作りから新刊の販売、そして古書の流通までをカバーする一種のエコシステムを形成していました。また本を愛する知識層が顧客として集まっていたことから、味のある喫茶店や料理店が軒を連ね、一時期は、文化サロン的な雰囲気も醸し出していました。これはITベンチャー企業が集積する米国のシリコンバレーや、ワイン関連産業が集積する米国のナパバレーと同じようなメカニズムといってよいでしょう。

 しかし最近では古書の多くがアマゾンに出品されるようになり、神保町を歩き回るよりも効率良く古書を入手できるようになってきました。書店についても、ビジネス街の大規模店舗の影響力が大きくなっており、神保町は地盤沈下しつつあるともいわれます。

 今回の出来事は、客観的に見れば、ひとつの書店が店を閉じただけの話ですが、神保町の顔だった店舗だけに、時代の移り変わりを強く感じた人も多いようです。電子書籍のシェアはこれからさらに高まると考えられますが、本の街である神保町は今後、どのような姿に変貌していくのでしょうか。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/11/30(水) 15:04
THE PAGE