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失敗続きのもんじゅに代わる新高速炉計画、どうして次の段階に進めるの?

2016/12/7(水) 9:00配信

THE PAGE

 政府は廃炉を検討している高速増殖炉「もんじゅ」に代わる新しい高速炉について、2018年をメドに工程表を作成する方向性を固めました。もんじゅには1兆円を超える国費が投入されましたが、ほとんど活用されないまま、高速炉開発は次の段階に進んでしまうことになります。

 政府は11月30日、新しい高速炉のあり方を議論する3回目の会合を開催し、今後の開発方針に関する骨子案を提示しました。政府はこれまで高速増殖炉の開発について、実験炉、原型炉、実証炉、実用炉の順番で段階的に進めていく方針を掲げていました。

 実験炉に相当するのが茨城県にある「常陽」であり、福井県にある「もんじゅ」は原型炉として開発が進められてきました。原型炉は主に技術的な確実性を検証することを目的としており、その成果をもとに実証炉の開発に進む予定だったわけです。

 しかし、もんじゅは臨界に達した翌年の1995年にナトリウム漏れ事故を起こして運転を停止。その後、別のトラブルも発生し、20年以上も運転を再開できない状態が続いています。政府はもんじゅについては、廃炉にする方向性で検討を進めており、近く最終的な結論が出る予定となっています。

 もんじゅはほとんど運転を行っていませんので、技術的な検証が十分とはいえず、本来の趣旨からすると、もんじゅがうまくいっていないのに実証炉の開発に進むことは困難です。例えば、出力100%運転時における炉心データの蓄積や、全体的な保守管理手法の検証といった部分については、もんじゅを再稼働しなければ知見を得ることができません。

 しかし政府は、フランスが先行して開発を進めている高速炉ASTRIDや、実験炉として運転を行ってきた常陽の成果、あるいはもんじゅの開発過程で得られた知見を活用すれば、もんじゅを再稼働しなくても実証炉の開発は可能と判断。次の段階に進むことを決断しました。

 骨子案では「世界最高レベルの高速炉の開発」「オールジャパン」「責任関係を明確化・一元化した体制の構築」といった文言が並んでいます。しかし、実証炉の開発に必要な知見はフランスなど先行している諸外国に大きく依存することになりますから、日本独自の開発というわけにはいかなくなります。国際的な知見が十分に確保できない場合でも、設計に余裕を持たせることで対応は可能としていますが、このあたりは、現時点では何とも言えないでしょう。

 もんじゅにはこれまで1兆円を超える国費が投入されました。もんじゅの状況についてほとんど総括が行われないまま次のステップに進むことについては、異論が出てくる可能性もあります。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/12/7(水) 9:00
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