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駅ナカ講座で科学が身近に 長野で「サイエンスカフェ」じわり

2016/12/6(火) 19:10配信

THE PAGE

 長野県の研究者らと市民が科学について気軽に語り合う「サイエンスカフェ」が今年からJR長野駅のステーションビルで始まり、市民の関心を集めています。多くの人が行き来する駅ビルでの「駅ナカ講座」は、通りがかりの人たちと研究者の交流の場に。科学の正しい情報を求めてイギリスなどで始まったカフェが、日本でも市民権を得つつあるようです。

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「信州に広がる外来生物」など年6~7回ペース

 サイエンスカフェは、大気、土壌、自然環境の調査や研究に取り組んでいる県の「長野県環境保全研究所」の主催。2年前から市内の会場でスタートし、今年からより市民との触れ合いができるJR長野駅の駅ビル「ステーションビルMIDORI長野」の3階「りんごのひろば」で開いています。

 毎年6~7回予定し、今年は5月に「温暖化で信州の森はどう変わるか」、7月に「信州の山 その自然の魅力に迫る」、8月は「信州の山」の2回目のそれぞれテーマ設定で開催。研究所の研究員や信州大学の名誉教授、国の研究機関の研究員らが講座を担当してきました。

 温暖化が長野県の動植物に与える影響や、山の地形から見る大地の動き、山の雪から考える気候変動など、身近な環境を通して地球環境を考える分かりやすい構成。会場は旅行者や買い物客が一休みするスペースのため、通りがかりに講座をのぞくことができ、用意した椅子は毎回30人前後の受講生で埋まっています。 

 11月11日には、前月のテーマ「信州の自然を輝かせる生物多様性」に続いて「信州の山野に広がる外来生物」のテーマで開催。ブラックバスの影響力の拡大などを論じ、帰宅途中のサラリーマンやOL、学生、高齢者など多彩な顔ぶれの受講者30人余りが熱心に聴講し、活発な質問も出ていました。

イギリスなどから始まった「交流の場」

 講座を見守っていた長野県環境保全研究所の陸斉(くが・ひとし)自然環境部長は、「以前は研究成果を県民に還元する狙いで自然観察会などを開いていましたが、遠出しなくてもより身近なところで県民と触れ合うことができるのではないかと、こうした趣向にしてみました」と説明。この日も受講した市民から質問が出るなど、気軽に参加できる講座として順調な滑り出しのようです。

 陸斉部長によると、サイエンスカフェは20年ほど前にイギリスやフランスで科学者と一般市民の気軽な交流と勉強の場として始まりました。大学や研究所に閉じこもっている科学を市民の文化の場に戻して多くの人が科学を理解する機会を増やす狙いがあります。長野県環境保全研究所のホームページでも「サイエンスカフェは科学と文化をつなぐ試みです」と説明しています。

 イギリスでは特にBSE(狂牛病)の問題をきっかけに、市民の間で政府の発する情報への疑問が強まり、直接専門家や研究者の話を聞きたいという欲求が強まってサイエンスカフェが活発に機能したとされています。

 温暖化など地球規模の問題や河川や山、動植物の環境の変化などに市民の関心も高まりつつある中、「駅ナカ講座」は息の長いイベントになりそうです。

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■高越良一(たかごし・りょういち) 信濃毎日新聞記者、長野市民新聞編集者からライター。この間2年地元TVでニュース解説

最終更新:2016/12/6(火) 19:10
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