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行ったこともない国タイ。日本で生まれ育った16歳少年はそこに「帰れ」と言われた。

2016/12/6(火) 16:44配信

BuzzFeed Japan

タイ人の子供として日本で生まれ育った16歳の少年ウォン・ウティナン君が、「強制退去は不当だ」と国を訴えていた裁判。東京高等裁判所は12月6日、原告の訴えを退ける判決を下した。少年と弁護団は東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、「不当判決だ」と訴えた。【BuzzFeed Japan / 渡辺一樹】

東京高裁の812号法廷。小林昭彦裁判長が「原告の請求を棄却する」と判決を読み上げると、傍聴席からは「ひどい」「恥を知れ」と声が上がった。

緊張した、不安げな表情で判決を聞いていたウティナン君は、うつむいて、一言も発せずに法廷を後にした。

2016年6月の1審判決に続き、2審でも訴えは認められなかった。ウティナン君は会見でも、ずっとうつむいたままだった。「悔しいです。とても悔しい」と、涙ぐみながら、つぶやくように話した。

最高裁に上告するかどうかは、まだ結論が出ていないという。

ウティナン君は中学に入学し、勉強、バスケ、演劇と、順調な学校生活を送っていた。しかし2014年、入国管理局(入管)から「お母さんとタイに帰りなさい」と、強制退去を言い渡された。

その強制退去の撤回と、在留許可を求めて争った裁判だった。

母親は悪質なブローカーに騙された

支援者らによると、ウティナン君の母親は、悪質なタイ人ブローカーに飲食店の仕事があると言われて来日した。しかし、実際には話が違った。日本各地で約束と違う仕事をさせられ、不法滞在となった。

ウティナン君が生まれたのは2000年。父親は、母親と一緒に暮らしていたタイ人男性だった。父と母は、ウティナン君が物心つく前に別れた。

母親は不法滞在の発覚を恐れ、各地を転々とした。隠すようにして育てられたウティナン君は、小学校に通えなかった。

「学校に行きたい」とウティナン君は勉強を始めた

勉強を始めたのは2011年、11歳のころ。学校に行きたいと、山梨県の外国人支援団体「オアシス」の人たちを頼った。日本語や勉強を教えてもらって、2013年に中学校に2年生として入学できた。

「自分は日本人ではない」ことに気づいたのは、中学に入ろうとした時のこと。それまで自分は日本人だと疑わなかった。ウティナン君は、堂々と日本で暮らしていくため2013年夏に「在留特別許可」を申請した。

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最終更新:2016/12/6(火) 16:44
BuzzFeed Japan