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政府が進める「高速炉」、「高速増殖炉」から「増殖」が取れて何が違うの?

2016/12/8(木) 9:42配信

THE PAGE

 政府は、廃炉が検討されている高速増殖炉「もんじゅ」に代わって、新しい原子炉を開発する方針を明らかにしました。2018年をメドに工程表が作成される予定ですが、次に作られるという原子炉は「高速増殖炉」ではなく「高速炉」となっており、微妙に名前が違っています。高速増殖炉と高速炉は何が違うのでしょうか。また高速とは何が高速なのでしょうか。

中性子の速度が速い「高速」、使った以上に燃料を増やせる「増殖」

 軽水炉と呼ばれる現在の原子炉は、装填したウラン燃料を燃やし切ってしまえばそれで終わりです。一定期間ごとに使用済みの燃料を取り出し、新しいウラン燃料を装填しなければ運転を続けることはできません。しかし、核燃料の種類や原子炉の構造を工夫すると、原子炉を運転しながら、燃やした燃料分以上の燃料を取り出すという、夢のようなことが実現できるようになります。それが高速増殖炉です。増殖というのは、使った分以上に燃料を増やすことができるというところから由来しています。

 軽水炉の燃料であるウランは、その物理的な特性上、核分裂を引き起こすための中性子の速度を落とさなければなりません。一方、高速増殖炉の場合には、プルトニウムを燃料として用い、中性子を減速させず高速のまま核分裂させます(プルトニウムは高速の中性子でも容易に核分裂する)。

 さらに中性子が高速の場合、副次的な効果もあります。核燃料としては使い物にならないウラン238(通常の軽水炉は核分裂しやすいウラン235を燃料としている)を原子炉の中に入れておくと、高速中性子を吸収し、何と先ほど燃料として使っていたプルトニウムに変えることができるのです。

 例えてみれば、自動車のエンジンの中に、ある物質を入れておくと、使ったガソリン以上に新しいガソリンが生成されるといった状況をイメージするとよいでしょう。つまり元の燃料よりも取り出した燃料の方が多いわけですから、増殖が行われたと解釈することができます。

 整理すると、高速というのは中性子の速度が速いという意味で、増殖というのは、燃やした燃料以上に燃料を作りだすことができるという意味になります。したがって、厳密には高速中性子増殖炉と呼んだ方がよいのですが、言い回しが面倒なので高速増殖炉という名称になりました。

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最終更新:2016/12/8(木) 9:42
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