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「トランプ政治」の方向性は? 固まりつつある政権顔ぶれ

2016/12/11(日) 14:00配信

THE PAGE

 米大統領選での勝利から1か月余り。「トランプ政権」の陣容が12月19日の選挙人投票を前に見えつつあります。現段階で固まった顔ぶれから読み解けるトランプ政権の方向性とは? 米国研究が専門の慶應義塾大学SFC教授、渡辺靖氏に寄稿してもらいました。

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熱心な支持者が並ぶ中、異色人事も

 ドナルド・トランプ米新政権の顔ぶれがほぼ出そろった。幾つか特徴的な点を述べたい。

 第一に、ほぼ全員、選挙期間中からトランプ氏を支持してきた点だ。主な例外は二人。国連大使に指名されたニッキー・ヘイリー氏(サウスカロライナ州知事)と住宅都市開発長官に指名されたベン・カーソン氏(元神経外科医)だ。

 ヘイリー氏は予備選でテッド・クルーズ氏を支持し、カーソン氏はトランプ氏と同じアウトサイダー系の候補として予備選を争った元ライバルである。ただ、ヘイリー氏の転出に伴い知事に昇格するヘンリ-・マクマスター副知事は当初から熱心なトランプ支持者であり、今後、国政を狙える地位に立たせてもらえることになった。カーソン氏は選挙戦撤退後には忠実なトランプ支持者に転じ、政権移行チームの要職を務めた。ちなみにヘイリー氏とカーソン氏は関連分野での経験が皆無という点で、今回、異色の人事でもある。

拙速な米ロ接近には与しない?

 第二に、外交・安全保障面で軍人出身者が目立つ点だ。大統領補佐官(国家安全保障担当)のマイケル・フリン氏は元陸軍中将、国防長官のジェームズ・マティス氏は元中央軍司令官、中央情報局(CIA)長官のマイク・ポンペオ氏(下院議員)は元陸軍士官、国土安全保障長官のジョン・ケリー氏は元南方軍司令官だ。トランプ氏は国際政治を経済的な損得勘定のみで捉える傾向があるが、彼らは同盟関係の重要性や、ロシアや中国の戦略的脅威を熟知している。拙速な米ロ接近には与しないだろう。

 ただ、興味深いのは国務長官だ。現在、石油大手エクソンモービルCEOのレックス・ティラーソン氏が最有力候補として急浮上している。同氏はロシアで石油事業に関わっており、ロシアのウラジミール・プーチン大統領とも親交があり、ロシアへの経済制裁に反対しているとされる。

 他にも元マサチューセッツ州知事のミット・ロムニー氏や自動車大手フォード・モーターのアラン・ムラーリー前CEOの名前も挙がっている。ロムニー氏は前回2012年の大統領選の共和党候補で、今回の選挙戦ではトランプ氏を一貫して批判した主流派の代表格。当時は「米国最大の脅威はロシア」と発言している。

 国務長官人事が難航している一因には、主流派対トランプ氏側近、(ロシアに懐疑的な)安保派対(ロシアに融和的な)トランプ氏側近などの権力闘争があると思われる。ロシアとの関係は欧州や中東との関係、さらには日露関係にも大きな影響を与えることになるので要注目だ。

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最終更新:2016/12/11(日) 19:43
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