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寿命は1000分の2秒、日本の名を冠した「ニホニウム」は基礎研究のたまもの

2016/12/14(水) 14:16配信

THE PAGE

 国際純正・応用化学連合(IUPAC)は11月30日、理化学研究所の森田浩介グループディレクターらのグループが発見した原子番号113番の元素の名前をグループの提案通り「nihonium(ニホニウム)」に、元素記号も「Nh」に正式決定しました。日本およびアジアの研究者が見つけたと認定された初の元素です。同グループが合成、発見したニホニウムは3個。平均寿命は約1000分の2秒と極めて短く、α粒子を次々と放出して他の元素へと変わっていきます。非常に短命な元素で、用途も見つかっていませんが、元素を合成するという技術は基礎科学研究のたまものなのです。

亜鉛とビスマスを衝突させる“レシピ”で合成

 原子番号は、原子核の内部にある陽子の数を指します。たとえば、113番元素なら陽子の数は113個です。森田グループでは、粒子にエネルギーを与えて加速する純国産の線形加速器「RILAC(ライラック)」を使い、亜鉛の原子核(陽子30個)を、ビスマスの原子核(同83個)に衝突させる方法を用いて、2003年9月から113番元素の合成に取り組んできました。30個プラス83個で、113個になる計算です。なお、亜鉛とビスマスの組み合わせは、亜鉛が加速しやすい元素であることや融合のしやすさなどから選ばれました。

 原理はシンプルですが、この研究に当初からかかわった超重元素分析装置開発チームの森本幸司チームリーダーによると、実際にはなかなか合成できなかったようです。原子核の大きさは1兆分の1cmと非常に小さく、衝突自体が起こりにくいほか、衝突しても融合する確率が100兆分の1とかなり低いためです。

 ビスマスの原子核に対し、毎秒2兆個の亜鉛の原子核を照射し続けた結果、初めて113番元素を合成できたのは、2004年7月でした。その後、2005年4月に2個目、2012年8月に3個目を観測しました。

 2015年末には、IUPACが日本およびアジアの研究者が見つけた初の新元素としてこの113元素を認定。2016年3月、同グループから元素名および元素記号案を提案した結果、11月末に元素名「ニホニウム」と、元素記号「Nh」が正式決定しました。

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最終更新:2016/12/14(水) 14:16
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