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安倍首相のハワイ真珠湾訪問、戦後社会の総括と日米同盟再確認の意義

2016/12/19(月) 13:31配信

THE PAGE

 安倍首相が太平洋戦争のきっかけとなったハワイの真珠湾を訪問することになりました。これにはどのような意味があるのでしょうか。

首相の真珠湾公式訪問と慰霊の意味

 安倍首相は12月の26日と27日に米国ハワイを訪れ、真珠湾攻撃の犠牲者をオバマ大統領とともに慰霊する予定であることを明らかにしました。ハワイの真珠湾には米太平洋艦隊の基地が置かれており、75年前の12月8日に、旧日本海軍の空母機動部隊が奇襲攻撃を行いこれによって太平洋戦争が始まりました。

 これまで日本の首相が公式に真珠湾で慰霊を行うことはありませんでした(一部から吉田茂元首相が1951年に真珠湾を訪問しているという指摘が出ていますが、これはサンフランシスコ条約調印の際にハワイに立ち寄ったということであり、この時点で日本はまだ正式に国際社会に復帰できていません。また真珠湾を訪問したというよりも、軍人との面会のため真珠湾に面した海軍基地を訪問したということですから、首相による公式の慰霊は安倍氏が初めてと考えて差し支えないでしょう)。その理由は、真珠湾で慰霊を行ってしまうと、場合によっては米国に対する謝罪と受け取られてしまう可能性があったからです。

 米国人にとって真珠湾攻撃は、自国領土に対する数少ない直接攻撃であり、相当なショックを伴うものでした。日本側の手違いで宣戦布告が遅れたこともあり、結果的にだまし討ちのような状態になってしまったこともさらに印象を悪くしています。9.11のテロが発生した際、キッシンジャー元国務長官が「これはパールハーバーである」と発言したことが、イラク戦争の決断に大きく影響したとも言われていますが、一部の米国人にとって真珠湾攻撃はそのくらい許せない行為なのです。したがって、純粋に慰霊のためとはいえ、首相が公式に真珠湾を訪問することは控えられてきたわけです。

オバマ大統領の広島訪問と戦後社会を総括する流れ

 今回、安倍首相の訪問が実現したのは、戦争から75年という節目の年であることに加え、オバマ大統領が広島を訪問したことも大きく影響しているでしょう。広島・長崎への原爆投下については米国内でも見解が分かれていますが、そのような中でオバマ大統領が広島を訪問したということは、戦後社会を総括する流れが出来上がってきたことを示しています。日米同盟の意義を再確認するという意味では今が最適なタイミングなのかもしれません。

 ただ、今回の訪問に対しては、少し違った見方もできるでしょう。これまで多くの困難を伴った米大統領の広島訪問と日本の首相による真珠湾慰霊が実現したということは、太平洋戦争をきっかけに成立した戦後社会の枠組みが、ある意味で過去のものになったと解釈することができます。

 実際、米国は以前ほど国際社会に関心を寄せなくなっており、自国中心主義に傾いています。トランプ次期大統領は12月8日に際して、日米同盟には言及せず「自由のために多くの犠牲を払った」「勝利に代わるものはない」と厳しいコメントを出しました。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/12/19(月) 13:41
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