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ホリデイ・イン株買収を狙った1週間の記録 ドナルド・トランプ(中)

2016/12/30(金) 11:30配信 有料

THE PAGE

 経済人であり、実業家、そして投資家としての横顔を見せるドナルド・トランプ米国次期大統領。政治家としての手腕は未知数ですが、過去の取引(投資)手法から、トランプの政治家としての今後は予測できるかもしれません。

 『トランプ自伝』(相原真理子訳)の中で語られた、ニューヨーク株式市場でまるで“カジノ”を楽しむように駆け引きを行った米国のホテルチェーン、ホリディ・イン買収を狙ったトランプの1987年のある一週間を市場経済研究所の鍋島高明さんが解説します。


  「私にとって取引は芸術だ」

 ドナルド・トランプの『自伝』には投資にかかわる人にとって見逃せない発言がぎっしり詰まっている。

 「取引」(投資)の章でトランプは「私は金のために取引するわけではない。金ならもう充分持っている。一生かかっても使い切れないほどだ」とし、こう述べている。

 「私は取引そのものに魅力を感じる。キャンパスの上に美しい絵を描いたり、素晴らしい詩を作ったりする人がいるが、私にとって取引は芸術だ。私は取引をするのが好きだ。それも大きければ大きいほどいい。私はこれにスリルと喜びを感じる」

  
  ベア・スターンズのアラン・グリーンバークとの会話  
  
   経済人トランプの朝は早い。6時起床、1時間ほどかけて新聞を読む。オフィスには9時頃行き、電話をかけたり、受けたりが始まり、その回数は1日100回を超える。電話の合い間には1日平均12、3人に会う。自伝にはある1週間の取引の記録を収めているが、ウォール街の投資銀行ベア・スターンズの立会場にいるアラン・グリーンバークとのやり取りが興味深い。アランはトランプの投資顧問で、らつ腕家として知られていた。そのころトランプはホリデイ・インの株を買い占めにかかっていたからアランとの間では電話がひっきりなしの状態だった。

 「株価は50ドル台だった。アランの話では、現在私は同社の株の5%弱に当たる100万株以上を所有しているという。金曜日に市場は1株65ドルで引けたが、その最大の理由は私が同社の株を買い占めているといううわさが流れたためだ、とアランは言った。私がホリデイ・インの乗っ取りを企てているのではないかという憶測が生まれているのだ」

 トランプがホリデイ・インの買い占めに食指が動くのは、

  1. カジノを3つ持っている

  2. ホテルの客室が30万室におよぶ

  3. 株価が安く、20億ドル足らずで経営権を取得できる

 などの理由による。この時点ではまだ乗っ取り作戦を決めたわけではない。持ち株を市場で転売すると700万ドルほどの儲けが転がり込んでくるし、ホリデイ・イン側からトランプの持ち株を買い戻そうしてくるかも知れない。いずれの方法を取るかは、アランと相談して決めることになるが、ホリデイ・イン株をどう“食べる”か、舌なめずりしている様子が伝わってくる。

 翌日、またアランから電話。本文:2,484文字 この記事の続きをお読みいただくには、THE PAGE プラスの購入が必要です。

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最終更新:2016/12/30(金) 11:30
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