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免許返納しても運転できる 高齢者の暮らしを変える、新しいクルマの可能性

2016/12/19(月) 8:27配信

BuzzFeed Japan

高齢者ドライバーによる事故に注目が集まっている。不安なのは、免許を返納した後の生活だ。テクノロジーは高齢化社会を支えることができるのか。【BuzzFeed Japan / 小林明子】

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広島県に住む88歳の吉岡七郎さんは、3キロほど離れた農協や診療所にも、ひとりで移動している。乗用車ではなく、このクルマを運転して。

吉岡さんは10年前に自動車運転免許を返納した。きっかけは、交通事故だった。

軽トラックを運転中、後方の確認不足によって、駐車場に停車していたトラックにぶつけてしまった。幸いけが人はなかったが、「子どもを轢いてしまうなど、一歩間違えば大惨事になりかねない」と心配した家族が、半ば無理やりに返納させた。

横浜市で今年10月28日、集団登校していた小学生の列に87歳の男が運転する軽トラックが突っ込み、1年生の男児が死亡した。高齢ドライバーによる事故は、吉岡さんの家族にとっても他人事ではなかったのだ。

免許を失った吉岡さん。以来、出かけるときは同居している60代の息子に頼み、送ってもらうようになった。遠慮もあり、外出の回数は激減した。部屋でテレビを見て過ごし、家族と食卓についてもほとんど会話をせず、部屋に戻ってまたテレビを見る。時々、手押し車を押して庭先に出るだけの毎日。孫の吉岡伸浩さん(38)はこう話す。

「祖父は足は悪くても気持ちはしっかりしていて畑仕事もしていたので、免許返納を納得していなかったんでしょう。田舎では、車がなければ生活が成り立たない。どんどん元気がなくなっていきました」

警察庁の運転免許統計によると、2015年末時点で、65歳以上の運転免許保有者は約1710万人で、全年代の20.8%。人口の高齢化に伴い、高齢ドライバーは増えている。

運転に自信がなくなった人には免許の自主返納を促しているが、2015年に自主返納した65歳以上は27万人で、前年末の免許保有者の2.5%に過ぎない。危険だとわかってはいても、車を手放せない高齢者は少なくないようだ。

免許を返納した人にバス運賃の割引サービスなどをしている自治体もあるが、もともと公共交通機関が整備されていない地域では、車を手放すことで暮らしの質が大幅に下がることがある。引きこもり、買い物難民、認知症の進行などにつながりかねない。

吉岡七郎さんもそんなリスクを抱えていた。2年前、新しいクルマを手に入れるまでは。

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最終更新:2016/12/19(月) 9:24
BuzzFeed Japan

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