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産油国を苦しめてきた原油安、なぜ今になってOPECは減産に合意したのか

2016/12/26(月) 8:10配信

THE PAGE

 これまでなかなか実現しなかった原油の減産がとうとう合意に達しました。原油価格の低迷は世界の景気にマイナスの影響を与え、産油国の財政を苦しめていると言われてきましたが、それでも減産に踏み切ることができませんでした。なぜ産油国は原油価格が低迷しているのに減産を実施しなかったのでしょうか。また、なぜ今になって減産の合意に至ったのでしょうか。

米国とロシアの動向が大きく影響

 OPEC(石油輸出国機構)とロシアなどOPEC非加盟の主要産油国は12月10日、ウィーンにあるOPEC本部で会合を開き、協調減産について合意に達しました。産油国全体で合意が成立するのは実に15年ぶりのことです。今回の決定で非加盟国は日量60万バレルの減産に踏み切ります。加盟国はすでに120万バレルの減産に合意していますから、両者を合わせると180万バレルの減産ということになります。

 現在、全世界では1日当たり9167万バレルの原油が生産されています。このうちOPEC加盟国の産出量は3823万バレルで全体の約4割を占めており、この数字だけを見るとOPECの影響力は大きいように思えます。しかし国別で産出量を見ると、また別の光景が広がります。世界でもっとも原油を産出しているのは米国で1270万バレル、2位はサウジアラビアで1201万バレル、3位はロシアで1098万バレルとなっています。つまり原油価格に対しては、米国とロシアの動向が大きく影響してくるわけです。

サウジアラビアのチキンレースに勝利した米国

 原油価格が低迷した当初、サウジアラビアはむしろ増産に傾いていました。価格が下がってもシェアを維持できれば、国庫に入る石油販売代金の減少を最小限に食い止められるからです。サウジアラビアに比べて採掘コストが高い米国のシェールオイルを減産に追い込めば、価格低迷に歯止めがかかるだろうという読みです。

 ところが米国勢がなかなか減産しなかったことから、サウジアラビアも苦しくなってきました。またそれ以上に苦しいのが、サウジ以外のOPEC加盟国です。結局のところ、サウジアラビアが減産部分の4割を負担し、国際社会に復帰したばかりのイランについては負担を小さくするという形でOPEC内での合意が成立しました。

 サウジアラビアは減産すると損をしますが、それでも減産を主導したのは、国営石油会社の上場を控えているからと言われています。上場価格は基本的に原油価格に依存しますから、目先の販売収入が減っても上場益を狙えればトータルで利益を得ることができます。

ロシアの国営石油会社も株式売却を予定

 しかし、それだけでは原油市場を動かすことはできません。米国は石油をほとんど輸出していませんが、世界3位の産油国で、石油の輸出大国でもあるロシアが減産に応じなければ価格は上がらない可能性が高いからです。

 今回ロシアが減産に応じた理由はサウジアラビアと同じです。ロシアの国営石油会社も株式売却が予定されており、原油価格上昇のメリットを享受できます。結局のところ資本市場が各国の減産を促した格好といえるでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2016/12/26(月) 8:10
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