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「君の名は。」黒板アートが話題 「何これ!すごい」「先生、暇なん?」描いた美術の先生の思い

withnews 2016/12/27(火) 7:00配信

話題の黒板アート きっかけは生徒のリクエスト

 青空の下、すれ違った階段で視線を交わす制服姿の男女――。興行収入200億円を突破した大ヒットアニメ映画「君の名は。」のキービジュアルを再現した黒板アートがネットで話題です。お気に入り登録数は10万件をこえ、「感動した」「学生時代にこんな先生に会いたかった」という書き込みも。絵を描いた奈良県の県立高校の先生に会いにいきました。(朝日新聞奈良総局記者・浜田綾)

【逆再生動画】黒板消しでなでると…絵が現れる!消すのもアート不思議な映像

話題の黒板アート きっかけは生徒のリクエスト

 作者は、奈良県立郡山(こおりやま)高校の美術講師、浜崎祐貴さん(31)。

 2年ほど前から、レオナルド・ダビンチの「最後の晩餐」や葛飾北斎の「富嶽三十六景」といった古今東西の名画のほか、映画の一場面をチョークで黒板に描いては、ツイッターやインスタグラムに投稿しています。

 「君の名は。」を描いたきっかけは、顧問をつとめる美術部での雑談でした。映画が公開されたばかりのころで、美術部でよく話題にのぼっていました。

 「先生、『君の名は。』の黒板アートを描いてください! 文化祭に来た人、喜びますよ」

 「(映画主題歌の)『前前前世』にかけて、文化祭の3日前に『前前前日』ってハッシュタグつきでツイートするのは?」

 ある1年生部員の発言をきっかけに美術室は大盛り上がり。ですが、文化祭まで1週間ほどしかありません。浜崎先生は勤務のあと、ひとり美術室の黒板に向かい、3日(作業は計10時間)で完成させます。7色のチョークをつかい、色を重ねたり、線の密度を変えたりして、微妙な色合いまで表現しました。

 「部員の多数決であのシーンになったんですけど、正直たいへんでした。奥行きのある町並みはこまかいし、光と影のバランスも複雑。描き終えてツイートしたときはふらふらでした」

そもそも なぜ黒板に絵を?

 浜崎先生は大阪生まれの奈良県香芝(かしば)市育ち。大阪芸術大学を卒業し、デザイナーとしての会社勤めをしたあと、25歳で美術講師になりました。

 奈良県内の中学校で教えたあと、2014年11月に郡山高校へ。

 美術部の副部長、田中みのりさん(3年)は「『ほんまに先生なん?』が第一印象でした」と振り返ります。
 高校に赴任したころから、髪形はいまと変わらないマッシュルームカット、服装は全身黒ずくめ。
 
 そんなルックスのせいか、むかしあるバンドのグッズをデザインしていたエピソードがねじれて、「バンドの人らしい」とウワサされたり、旧友が少年誌にマンガを連載している話がすりかわって、「先生はマンガ描くんですか?」と聞かれたり。

 「年度の途中に突然あらわれたので、校内であやしまれてしまいました。美術は選択科目なので、授業で接することがない生徒も多かったんです」と浜崎先生は振り返ります。
 黒板アートを始めたきっかけは、このころに届いた元教え子からのLINEでした。

 「先生に習ったピカソのゲルニカ描いたで! 先生やったらもっとうまいんやろうなあ、描いてみてください」というメッセージとともに送られてきたのが、黒板に模写した絵の写真でした。

 「板書してるときって、すごく先生らしい瞬間やと思います。そのイメージもあってか、昔から黒板に何か描くのが好きでした」

 もともと板書に思い入れがあった浜崎先生。そのメッセージから1カ月がたつころ、一念発起します。

 「2学期の授業が終わり、黒板の絵に取りかかりました。つかうチョークもたくさんあったんです。というのも、チョークメーカーが倒産すると知って、買い込んでいたんです。もちろん自費ですよ」

 描き始めて感じたのは、予想外のおもしろさでした。

 「いわゆる名画をしあげる疑似体験ですよね。ピカソが描き直したであろう跡とか、筆の運び方を意識するのが新鮮で」

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最終更新:2016/12/27(火) 8:57

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