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2016年は日本の金融政策にとって大きな転換点、2017年は日銀にとって正念場

1/1(日) 12:00配信

THE PAGE

 2016年は日本の金融政策にとって大きな転換点となる年でした。日銀はイールドカーブ・コントロールという新しい手法を導入し、事実上、量的緩和策の追求を断念しました。これで日銀は一息付けるはずでしたが、米大統領選でトランプ候補が当選したことから、金利の上昇が始まりました。金利上昇は日銀にとっては避けたいシナリオです。2017年は日銀にとってまさに正念場の年となるでしょう。

 量的緩和策とは、市場にインフレ期待を生じさせ、実質金利を低下させて設備投資などを促すための政策です。日本では長期にわたって低金利が続き、これ以上、名目金利を下げることができませんから、市場にインフレ期待を生じさせて実質金利を下げてやることで同じ効果を得ようという理屈です(実質金利は名目金利から物価上昇率を差し引いて求められます)。

 通常、市場にインフレ期待が生じると、金利が上昇して設備投資が抑制されてしまいます。しかし、日銀が市場の国債を徹底的に買い上げることで長期金利を低く抑え込むことが可能となります。インフレ期待と低金利という、なかなか両立しない状態を意図的にうまく作り出そうというわけです。

 ところが日本経済は日銀が想定した通りには動きませんでした。当初はインフレが進むかに見えましたが、物価の上昇は2014年をピークに鈍化。2016年はむしろマイナスとなる月が多くなり、どちらかというとデフレに逆戻りしてしまいました。日銀としては追加緩和を行ってインフレ期待を高めたいところですが、国債買い入れには物理的に限界があり、そろそろ、その限界点が見え始めている状況です。

 日銀は量の追求を諦め、国債の購入額ではなく金利水準に政策の軸足を移すという新しい手法(イールドカーブ・コントロール)を導入しました。しかし、イールドカーブ・コントロールがうまく機能するためには、市場金利が低い状態で推移することが条件となります。金利が上がりすぎてしまうと、日銀は追加緩和に踏み切らざるを得なくなり、結局、元の状態に戻ってしまうからです。

 米国の金利が急上昇したことから、一時は日本の長期金利も跳ね上がりました。日銀は指し値オペを実施することで、今のところは何とか金利を低く抑え込むことに成功しています。しかし、米国の金利上昇が続いた場合には、日本の金利にもさらに上昇圧力が加わってくることは必至です。日銀は金利の上昇を放置するのか、あくまで低金利にこだわるのか、重大な選択を迫られることになるでしょう。景気が回復しない中での金利上昇は、設備投資が抑制されたり、政府の利払い負担が増えるなど各種の弊害があります。2017年は日銀にとって、今まで以上に難しい舵取りが求められそうです。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:1/1(日) 12:00
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