ここから本文です

「沖縄デモ集団の正体は中国」というnetgeek記事は本当か ソースの「公安調査庁レポート」を読んでみた

2016/12/27(火) 6:00配信

BuzzFeed Japan

インターネットメディア「netgeek」が2016年12月24日、「『沖縄デモ集団の正体は中国』公安が衝撃のレポートを発表しNHKも報じる」との記事を配信した。netgeekが言う「公安の衝撃のレポート」とは、「内外情勢の回顧と展望」のことだ。記事中にリンクが貼ってある。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

【写真】米軍ヘリパッド建設に抗議する人たち

このレポートは、公安調査庁が国内外の情勢についてまとめ、毎年発行している資料だ。リンク先のレポートでは、北朝鮮や中国、ロシアの動向、国内の過激派や共産党、右翼勢力などの情勢が伝えられている。

netgeekの記事は、公安調査庁がこのレポートで「在日米軍基地に反対するデモ集団について、『裏で糸を引いているのは中国だった』とまとめた」と説明している。

記事では、NHKの報道も取り上げ、次のように記している。

○公安の報告はすでにNHKも報道しており広まっている。
”簡単に説明しておくと、沖縄が日本から独立すると得をする中国は秘密裏にデモ集団を支援していたというもの。その支援の度合いは中国の大学やシンクタンクも絡んでおり、まさに国家ぐるみ。最終的には日本を分断させることで政治を有利に運ぼうとするのが中国側の狙いだったとみられる”

記事は拡散され、物議を醸している。BuzzFeed Newsはソースになっている「内外情勢の回顧と展望」を読んでみた。

netgeekは写真のように、レポートの内容をまとめている。沖縄デモ隊と中国の関係が指摘されているのは、以下の部分だという。

「琉球独立勢力に接近」「『琉球独立』を標榜する我が国の団体関係者らを招待」と書かれているが、「沖縄デモ集団の正体は中国」に当たる記述はない。

netgeekが画像を転載している部分を含め、全75ページの資料中、中国と沖縄の関係性に関しては、2箇所で指摘しているだけだ。

資料が「沖縄米軍基地問題,集団的自衛権などをめぐり,政権批判世論を利用し分断を企図」とまとめている部分はこうだ。

”在沖米軍基地撤去に向けた運動に取り組む反対派住民団体などの主張を「日本国民の政府批判の声」として世論戦での材料に利用するとともに,「琉球独立勢力」に接近するなど,日米同盟分断や尖閣諸島「領有権問題」での揺さぶりを企図した動きも見られた”

直後に掲載されたコラムの「琉球帰属未定論」の提起・拡大を狙う中国にはこう書いてある。

”○ 平成25年(2013年)5月,中国共産党機関紙「人民日報」は,中国社会科学院の研究者が執筆した,「琉球の帰属は未定」などと主張する論文を掲載した。中国は,公式には「沖縄は日本に帰属」との見解であり,「中国政府の立場に変化はない」(外交部報道官)と表明しているものの,その後も同紙が「沖縄返還協定は不法」と主張する研究者の論文を掲載する(8月)など,世論喚起を狙った動きが見られた。
○さらに,平成26年(2014年)以降は,「人民日報」海外版などが“専門家の論評”との体裁で同論を掲載しているほか,5月には,中国シンクタンクなどが琉球に関する学術会議を開催し,「琉球独立」を標榜する我が国の団体関係者らを招待した。また,「琉球新報」が「琉球処分は国際法上,不正」と題する日本人法学者の主張に関する記事を掲載した際には,人民日報系紙「環球時報」が反応し,関連記事を掲載する(8月)など,中国側の関心は高く,今後の沖縄関連の中国の動きには警戒を要する”

いずれも、中国が反対派団体の声を「世論戦での材料に利用」している点や、「独立勢力に接近」しているという見解が記されている。

1/3ページ

最終更新:2016/12/27(火) 12:25
BuzzFeed Japan