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<箱根駅伝>ライバル5強はなぜ青学を倒せなかったのか?

2017/1/4(水) 7:00配信

THE PAGE

 東洋大と同じく、1区で“損”をしたのが早大だ。
 高速レースを想定して1区にエース格の武田凜太郎を起用した。
「1区にカードを切っているので、ハイペースで行ってほしかった。1区がもっとバラければ、2区以降の選手の走りも変わっていたと思います」と相楽監督。武田は服部と3秒差で続いたが、青学大に1秒先着しただけだった。往路のゴールは青学大と33秒差だったことを考えると、1区で青学大に20~30秒のリードを奪うことができれば、違う展開になっていたはずだ。

 反対に1区がスローペースになり、救われた可能性があるのが青学大だ。
 当初は出雲1区で5位と好走したルーキー鈴木塁人を起用する予定だったが、故障のため、学生駅伝未経験の梶谷瑠哉に交代した。梶谷は1500mも走り、ラストのスピードが武器の選手。高速レースや、前半から何度も揺さぶりをかけられるようなレース展開は嫌だったはずだ。トランプのカードでいえば、服部が「ジョーカー」で、武田が「エース」か「キング」で、梶谷は「ジャック」だった。その3人は21.3kmを走って、わずか4秒以内にいた。青学大にとって、1区はうれしい展開になった。

 スターターには、もう1枚の強力カードが加わるはずだった。山梨学大は1万mで28分26秒70のタイムを持つ佐藤孝哉を当日変更で1区に投入する予定だったが、体調不良で欠場。1区で20位と出遅れ、3分近い大差をつけられた。優勝争いどころか、総合17位でシード権を逃している。

 1区で好スタートを切ったものの、「エース」の力を過信したのが駒大と東海大だ。駒大は故障あがりの4区中谷圭佑が最初の1kmを2分46秒で突っ込み、終盤に失速。青学大・森田歩希に4分31秒差をつけられ、区間18位に沈んだ。駒大は往路終了時で青学大と4分01秒差。エース中谷が冷静にレースを進めることができれば、目標の「往路優勝」は十分に射程圏内だった。

 東海大は2区に起用された注目のルーキー・關颯人が区間13位と振るわなかった。11月に胃腸炎と故障でトレーニングできない時期があったものの、両角速駅伝監督は、「彼のポテンシャルに頼ったところがあった。その見込みが甘かったですね」と反省した。6区位までに5人のルーキーを起用するも、6区終了時で15位。1年生パワーは炸裂しなかった。

 勝負事に「たら・れば」をいうとキリがない。しかし、今回の青学大は「強い」とはいえなかった。他大学にも十分に歓喜のチャンスはあっただけに、ちょっと寂しい思いはある。箱根駅伝は日本中が注目するビッグレース。各校がベストパフォーマンスを発揮したうえで、最高の戦いを見せてほしかった。
 
 最終的には、選手層が厚く、致命的なミスを犯さなかった青学大が今回も笑った。全日本に続いて、青学大を苦しめた早大の相楽監督に最大の敗因をひとつ教えてほしい、と質問すると、かなり悩んだ後に、「勝ちたいという気持ちだったと思います。離れたところでウチは集中力が切れている選手が多かった」と答えた。勝ち続ける青学大は、勝利への貪欲さも一番だったのかもしれない。

(文責・酒井政人/スポーツライター)

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最終更新:10/3(水) 13:42
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