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隣人にゴミ袋を開けられ、注意したら「何様のつもり!」と逆ギレ...違法行為では?

弁護士ドットコム 1/5(木) 9:59配信

他人のゴミ袋を勝手に開けることは、犯罪なのか?弁護士ドットコムの法律相談コーナーに、ある男性が相談を寄せました。

男性は、自宅前の収集場所にゴミ袋を捨てています。ところが、隣人が興味本位からゴミ袋を勝手に開け、中身をチェックしているというのです。男性がやめてほしいと言ったところ、「何様のつもりだ!」と怒鳴られ、とても不愉快だったといいます。男性は隣人のゴミ袋チェックに精神的な苦痛を感じ、最近では有料の民間業者に頼んでゴミを回収してもらっているそうです。

他人が捨てたゴミ袋を勝手に開けて中をチェックする行為は、法的に問題ないのでしょうか。梶山 正三弁護士に聞きました。

 ●隣人の行為は「プライバシー侵害」で違法です

結論から言うと、隣人の行為は個人のプライバシーを侵害するため、違法です。もちろん、やめさせることができます。

ゴミは、ゴミ捨て場に捨てた時点で所有権がなくなる、と考える人もいるかもしれませんが、それは誤解です。ごみとして出して所有権を放棄しても、ゴミに対する管理権限や管理責任が無くなるわけではありません。

ゴミが世の中に迷惑をかけず適切に消えていくまでは、元の所有者に管理責任があります。責任を果たすためには権限が必要ですので、元の所有者にはゴミを管理する権限があるということです。

責任と権限について、もう少し詳しく考えてみましょう。

所有権を放棄しても、それを公園に捨てれば「不法投棄」という犯罪行為になります。例えば、有害物質を排出する工場や放射性廃棄物を放出する原子炉は、その放出物について工場や原子炉事業者に所有権はないとしても、管理責任と管理権限はあります。したがって、有害物質や放射性廃棄物によって人や自然を汚染・破壊すれば、違法行為として責任を問われるでしょう。

別の例を挙げると、農薬入りの毒団子を路上にまき散らした人がいたとします。その人が、毒団子の所有権はないと主張しても、それを食べて犬が死んだ場合、責任を免れることは難しいでしょう。

話をまとめると、ゴミステーションに出したごみについては、それが社会的に適切な方法で処理されるまでは、元の所有者に管理責任・管理権限があります。隣人の行為はそれらを侵害しているため、違法となるのです。

隣人に対しては、まずゴミ袋を自分に返すように要求し、他人のゴミ袋を勝手にチェックする行為がプライバシーの侵害であることを説明しましょう。隣人の行為が日常的に続いているのであれば、民事上の訴えが必要だと思います。隣人が常習犯であれば、警察官を呼んでも一時しのぎにしかならないでしょう。

「何様のつもりだ」と怒鳴られたことだけを理由に慰謝料を請求することは難しいですが、継続的にプライバシー侵害が行われていることを証明できれば、十分慰謝料請求の理由になります。

【取材協力弁護士】
梶山 正三(かじやま しょうぞう)弁護士
理学博士。東京都公害研究所職員から転身。関弁連公害環境委員会の委員長を6年務める。宇都宮大、滋賀大、東大、埼玉大等の非常勤講師。1998年~現在、「闘う住民と共にゴミ問題の解決を目指す弁護士連絡会(ゴミ弁連)http://gomibenren.jp/」会長。
事務所名:駒ヶ岳法律事務所
事務所URL:http://www.yama-ben.jp/office/245/

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:1/5(木) 9:59

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