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トランプ政権発足で80年代の貿易摩擦に? 当時、嫌というほど聞いたUSTR

1/16(月) 8:50配信

THE PAGE

 トランプ政権の経済チームがほぼ固まりました。メンバーを見ると、貿易不均衡の是正を強く主張する人物が揃っており、1980年代に勃発した日本と米国の貿易摩擦を彷彿とさせます。今回の貿易戦争のターゲットは中国ですが、トランプ氏はトヨタに対しても口撃の矛先を向けています。日本も攻撃の対象に入らないという保証はありません。

 トランプ政権の財務長官には元ゴールドマン・サックスのスティーブン・ムニューチン氏、商務長官には著名投資家のウィルバー・ロス氏、国家経済会議(NEC)委員長にはゴールドマン・サックス社長兼最高執行責任者(COO)のゲーリー・コーン氏が就任する予定です。

 トランプ政権の目玉とされ、新しく設立される国家通商会議のトップにはピーター・ナバロ氏が、通商交渉の実働部隊であるUSTR(米通商代表部)代表にはロバート・ライトハイザー氏が就任します。

 これらの人事の中で特に注目を集めているのが、商務長官のロス氏、国家通商会議のナバロ氏、そしてUSTR代表のライトハイザー氏です。

 ロス氏とナバロ氏は貿易不均衡に関する対中強硬派としても知られ、共にトランプ政権の経済政策の取りまとめに深く関与した人物です。ロス氏とナバロ氏は共著で、貿易不均衡の是正が必要との提言を行っており、貿易赤字の削減がトランプ政権におけるひとつの重要課題となりそうです。

 もっとも主流派と呼ばれる経済学では、貿易赤字と経済成長は直接関係しないという考え方に立脚しており、ロス氏やナバロ氏との主張とは食い違っています。主流派経済学者の1人でクリントン政権において財務長官を務めたサマーズ氏は、ロス氏とナバロ氏の経済政策について「まじない経済学だ」として激しく批判しています。

 ただ、今のところトランプ氏はこうした声をまったく気にしていないようです。通商交渉の実務を取り仕切るUSTRのトップにライトハイザー氏を据えたことからもそれははっきりしています。ライトハイザー氏は80年代のレーガン政権時代、USTRの次席代表として対日貿易交渉にあたった実務家で、その後は鉄鋼業界の利益代表者として中国製品への高関税適用を主張してきました。

 USTR、貿易不均衡といったキーワードは、中高年以上で当時、政治や経済に関心のあった人なら、嫌というほど耳にしてきたはずです。日本は米国からの政治的圧力の結果、自主的な輸出規制や米国における現地生産の拡大、米国製品の輸入割当の受け入れといった妥協策を模索し、何とか貿易戦争を回避しました。

 トランプ政権はかつて日本に対して行ってきた要求を中国に対して突きつけるものと思われます。今回のターゲットはあくまでも中国ですが、日本に再びその矛先が向かわないとも限りません。米国の通商政策がどうなるのか、慎重に様子を見極める必要があるでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:1/21(土) 16:16
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