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トランプ氏、大統領選出後に外交面で広げた波紋の数々

1/14(土) 10:00配信

The Telegraph

【記者:Chris Graham】
 ドナルド・トランプ(Donald Trump)次期米大統領は先月、台湾の蔡英文(Tsai Ing-wen)総統と電話で会談した。数十年続いてきた米外交政策の慣例を打ち破ったもので、昨年11月の大統領選で勝利して以来、トランプ氏が国際舞台で見せた最大の動きとなった。

 中国はこの電話会談について、台湾による「小さな計略にすぎない」という見方を示したものの、米台のこのような接触は、1979年に当時のジミー・カーター(Jimmy Carter)大統領が「一つの中国」政策を打ち出して以来初めてだった。

 外交経験のないトランプ氏が国際関係や国家安全保障面で見せている動きに、米国の同盟国と敵対国の両方が注目している。

 昨年11月8日に大統領に選出された後のトランプ氏が、外交問題への対応で広げてきた波紋について、以下にまとめる。

■台湾総統との「歴史的」電話会談

 トランプ氏と台湾総統との「歴史的」電話会談が、「一つの中国」政策からの意図的な転換を意味するものだったのか、うかつなミスだったのかは明らかになっていないが、いずれにせよ、台湾を中央政府に背いている一つの省と見なしている中国をいらだたせた。

■英首相を冷遇し、極右政治家を支持

 トランプ氏は大統領選の翌日、テリーザ・メイ(Theresa May)英首相と電話会談を行った。とはいえ、アイルランドやオーストラリアなど9か国の首脳と電話で話した後だった。

 メイ首相への電話が遅れたのは英国冷遇の現れだという見方が広まり、両国間の「特別な関係」を疑問視する声も上がった。

 英国の政治家の中で、次期米大統領に選出された後のトランプ氏と最初に会談したのは、ナイジェル・ファラージ(Nigel Farage)英国独立党(UKIP)元党首だった。その後トランプ氏は、駐米大使はファラージ氏が務めればいいとツイッター(Twitter)に投稿した。

 これに対し英政府は、大使のポストは「空いていない」と応じた。トランプ氏と親密な関係にあるファラージ氏を、非公式な橋渡し役として起用することを拒否したメイ首相に対しては、自身の内閣からも批判が上がっている。

 今月に入り、メイ氏は再びトランプ氏と電話会談したが、両氏の会話の中でファラージ氏に関する言及は一切なかったと、複数の取材先が明らかにした。英政府は両首脳の発言内容を公表した上で、両氏が「緊密な関係の構築」と「定期的な対話の確立」を望んでいると述べ、外交儀礼が再び通り尊重された様子が示された。

■パキスタンの早期訪問を「熱望」

 トランプ氏は今月、パキスタンのナワズ・シャリフ(Nawaz Sharif)首相とも電話で会談し、シャリフ氏に対し早期のパキスタン訪問を「熱望」したと伝えられている。インドを怒らせる危険を冒した格好だ。

 パキスタン側が公表した会談内容によると、トランプ氏はパキスタン人を「世界屈指の知能を誇る国民」と表現。さらにシャリフ首相に対し、「パキスタン国民は素晴らしい。私が知るパキスタン人は皆並外れた人々だ」というメッセージを伝えてほしいと頼んだという。

■安倍首相との会談に娘夫妻が同席

 大統領選後にトランプ氏と初めて直接会った外国首脳は安倍晋三(Shinzo Abe)首相だった。

 会談前には、日本側がトランプ氏の政権移行チームとの調整に苦心しているという報道もあったものの、安倍氏は会談後トランプ氏について「信頼できる指導者と確信した」と語った。

 しかしこの会談の公式写真が公開され、トランプ氏の娘のイヴァンカ(Ivanka Trump)さんが会談に同席していたことが明らかになると、ひんしゅくの目が向けられた。イヴァンカさんだけでなく、夫で実業家のジャレッド・クシュナー(Jared Kushner)氏も、安倍首相の一行と談笑している様子が写っていた。

■フィリピン大統領をホワイトハウスに招待?

 最近の米比関係には亀裂が生じている。フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)大統領が犯罪撲滅戦争を掲げ、自警団による殺害を奨励していることや、バラク・オバマ(Barack Obama)米大統領に対し「売春婦の息子」について侮辱的な表現を使ったことなどに起因している。

 しかしトランプ氏とドゥテルテ氏の関係は、より温かいスタートを切ったもようだ。ドゥテルテ氏側近によると、トランプ氏はドゥテルテ氏との「非常に積極的で活発な」電話での会話の最中に、ホワイトハウス(White House)へ招待したという。

 ドゥテルテ大統領の話では、トランプ氏はフィリピン政府が流血の麻薬撲滅戦争を「正しいやり方」で進めていると評価したという。オバマ大統領から受けた批判とは正反対の反応といえる。

■山積する「予習」

 トランプ氏は大統領選後の2週間に機密情報に関する説明をたった2回しか受けなかったとされ、「予習しておくべきことが山積している」という批判にさらされている。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)は現職および元職の政府関係者らの話として、2回きりの説明というのは前任の歴代大統領と比べても明らかに少ないと報じている。

 それでも最初の人事発表で名前が挙がった一人は、国家安全保障関連だった。トランプ氏は退役陸軍中将のマイケル・フリン(Michael Flynn)元国防情報局長を、国家安全保障問題担当の大統領補佐官に起用したい考えを示した。

■ツイッター外交

 世界各国は、トランプ政権に従来の外交ルールは当てはまらず、外交政策の変化を察知する最良の情報源はツイッターだという認識を持ち始めている。

 韓国政府は、一触即発状態にある北東アジアに対するトランプ氏の政策を予測しようと、外務省内に同氏のツイートの監視専任職を新設したほどだ。

 これに対し中国は、全く感心していない様子。国営新華社(Xinhua)通信は「『ツイッター外交政策』への執着は望ましくない」と題した論評を掲載し、「外交政策は子どものお遊びではなく、ましてや事業取引をしているようなものでは決してない、という常識は誰でも承知している。ツイッターが外交政策の道具になることがあってはならない」と指摘している。【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:1/14(土) 10:00
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