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日本の科学のタブー「軍事研究」の門は開いた 防衛省の助成は約20倍に。研究者たちの戦後の誓いはどう変わるか

1/17(火) 6:00配信

BuzzFeed Japan

戦後一貫して「戦争を目的とする研究には従わない」との姿勢を貫いてきた「日本学術会議」の議論が白熱している。【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

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日本学術会議は科学者たちの代表機関で、「学者の国会」とも言われる。その声明は多くの大学や研究機関の指針となっている。

1949年の設立以来、「軍事目的の科学研究をしない」という態度を貫いてきた学術会議。実に50年ぶりに、その方針を見直すかどうかの検討が1年近く続いている。

議論のきっかけになったのが、防衛省が2015年度から始めた研究助成のための「安全保障技術研究推進制度」だ。

この制度ではまず、防衛省が掲げた研究テーマに対し、大学や民間の研究機関など、外部の研究者が技術提案をする。そのなかで同省が「優れた提案」に研究を委託し、得られた成果を「開発研究」に活用する。

つまり、将来的に自衛隊の装備品などに応用できる研究に対し、防衛省が支援をする制度だと言える。

同省は制度の研究結果が「民生分野で活用されることを期待」しているという。これを、「デュアルユース」という。

国立大学の運営費交付金削減など、大学では研究資金不足が課題となっている昨今。

15年度には109件の、16年度には44件の応募があった。

一方で、制度の利用に反対する大学もある。朝日新聞によると、広島大は「原爆の被災から復興した大学として、戦争を目的とした科学研究は行わない」ことを理由に制度を利用しない。沖縄戦の記憶が残る琉球大なども同様だ。

そんな中、学術会議では2016年5月、「安全保障と学術に関する検討委員会」(委員長:杉田敦・法政大教授)を設置。

山極寿一・京都大総長や大西隆・豊橋技術科学大学学長(学術会議会長)ら研究者15人が、「学術の公開性と透明性が担保されるのか」「科学者コミュニティの独立性はどうなるのか」などについて、これまで7回にわたり議論を続けてきた。

そもそも、学術会議はどのように軍事研究に携わらないスタンスを保ってきたのか。

終戦後5年、1950年に発表された声明では、こう強い意志を示している。

”戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明(声明)

日本学術会議は、1949年1月、その創立にあたって、これまで日本の科学者がとりきたつた態度について強く反省するとともに科学文化国家、世界平和の礎たらしめようとする固い決意を内外に表明した。

われわれは、文化国家の建設者とし、はたまた世界平和の使として、再び戦争の惨禍が到来せざるよう切望するとともに、さきの声明を実現し、科学者としての節操を守るためにも、戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わないというわれわれの固い決意を表明する”

1967年には、日本物理学会の「半導体国際会議」(66年、日本学術会議が後援)に米軍から8000ドルの資金援助があったことが発覚する。

学術会議は、「軍事目的のための科学研究を行わない声明」を発表し、改めてその態度を明確にした。

“われわれ科学者は、真理の研究をもって自らの使命とし、その成果が人類の福祉増進のために役立つことを強く願望している。しかし、現在は、科学者自身の意図の如何に拘らず科学の成果が戦争に役立たされる危険性を常に内蔵している。その故に科学者は自らの研究を遂行するに当って、絶えずこのことについて戒心することが要請される。

今やわれわれを取りまく情勢は極めてきびしい。科学以外の力によって、科学の正しい発展が阻害される危険性が常にわれわれの周辺に存在する。近時、米国陸軍極東研究開発局よりの半導体国際会議やその他の個別研究者に対する研究費の援助等の諸問題を契機として、われわれはこの点に深く思いを致し、決意を新らたにしなければならない情勢に直面している。既に日本学術会議は、上記国際会議後援の責任を痛感して、会長声明を行った。

ここにわれわれは、改めて、日本学術会議発足以来の精神を振り返って、真理の研究のために行われる科学研究の成果が又平和のために奉仕すべきことを常に念頭におき、戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わないという決意を声明する“

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最終更新:1/17(火) 7:50
BuzzFeed Japan

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