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最強寒波 爪痕あらわ 大雪・・・死者、農業被害も

日本農業新聞 1/18(水) 7:00配信

 11日からの大雪で、日本海側を中心に死傷事故や農業被害が相次いでいる。京都府ではハウス倒壊が相次ぎ、農家がハウスの下敷きになって死亡する事故が発生。新潟県でも屋根の雪下ろし中に転落し、農家が亡くなった。強い寒波は20日にも押し寄せる見込みで、産地は警戒が必要だ。

野菜ハウス全て倒壊 希望失い「再起厳しい」

 「生きがいを失った。これから希望を持って生きていけるだろうか」。雪の重みで8棟のハウス全てが倒壊した京都府福知山市夜久野町の農家、片桐信さん(83)は出荷間近の葉物野菜を無念そうに見詰めた。

 片桐さんはハウスで野菜を栽培して約30年。16アールの施設でシュンギクやホウレンソウを栽培していたが、「高齢のため再建は難しいだろう」と見通す。同市では、雪で倒壊したハウスが点在し、「若い農家を守り地域農業を持続させるためにも、行政やJAによる何らかの支援が必要だ」と訴える。

 15日には雪の重みでビニールハウスがつぶれ、中にいた同市の農家、片岡敏之さん(88)が亡くなる事故も起きた。

 府中丹広域振興局によると、雪で調査に入れない地域もあり被害の全容は分かっていないが、17日現在、同市で87棟のハウスが倒壊。水稲育苗施設や農業機械倉庫も倒壊しており、同局農業振興担当は「できるだけ被害情報を集め、支援に反映させたい」と話す。JA京都にのくに営農経済部の向山聡部長も「行政や関係機関と連携し、再建に向けて最大限の対応をしたい」としている。

除雪中に死亡

 新潟県三条市笹岡では16日、米農家の横田昭一さん(73)が、除雪作業中に命を落とした。弟の家で、屋根に積もった雪を下ろしていた際に転落したとみられる。現在も1メートル弱の積雪があり、笹岡上組自治会会長の大港洋一さん(63)は「二十数年前に比べたら雪は減ったが、改めて雪下ろし作業に気を付けるよう周知したい」と漏らす。

 横田さんは、棚鱗(たなひれ)自治会の会長を4月から務める予定だった。自治会会長で農家の目黒昇さん(66)は「誰からも慕われる、地域にとって大切な人を失ってしまった」と悲しむ。

 目黒さんによると屋根の雪下ろしは、複数人で命綱をすることは「誰もが知っている」と言う。ただ、「命綱を引っ掛けるところがない屋根もあり、構造上、相手が見えない場合もある。どうすれば事故が防げたのか、分からない」と嘆く。

 総務省消防庁によると17日現在、大雪に伴う事故で死者は5人、重軽傷者78人に上る。死亡事故の8割は除雪作業中に発生し、65歳以上が8割を占めるという。農水省によると、同日現在で東北から近畿にかけハウス398件、畜舎4件で被害が出ている。

20日にも再び寒気 積雪地帯はさらに警戒

 20日ごろには再び、寒波が襲来する恐れがあり警戒が必要だ。日本の太平洋側と日本海側で低気圧が発達、北から強い寒気が流れ込み、再び広い範囲で大雪や荒れた天候になる恐れがある。その後も冬型の気圧配置が続き、21日も日本海側では荒天が続く見通し。

 2014年2月に関東甲信を襲った記録的な大雪までにはならない見込みだが、気象庁は「既に雪が積もっている地域ではさらに雪が増える恐れがあり、除雪中の事故や農業施設の被害に注意が必要だ」(予報課)と警戒を促す。(尾原浩子、隅内曜子、前田大介)

日本農業新聞

最終更新:1/18(水) 7:00

日本農業新聞