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英認知症患者6人、スイス「自殺クリニック」へ 元医師の関与が波紋

1/24(火) 16:05配信

The Telegraph

【記者:Henry Bodkin】
 認知症を患った6人の英国人が、過去に医師名簿からの登録を抹消されている元精神科医の助けを借りてスイスの「自殺クリニック」で命を絶っていたことが分かった。

 この元精神科医は、コリン・ブリューワー(Colin Brewer)博士。6人については、自ら死を選ぶことのできる精神状態にあったとの書類を作成している。

 著名な物理学者を含む6人は全員、主治医から認知症と診断された後にブリューワー博士の元を訪れていた。この中には末期疾患の患者は一人もいなかった。

 ブリューワー博士は、過去に薬を処方した患者が死亡したことを受け、2006年に医師名簿からの登録抹消処分を受けている。ただ、その事実を告げてさえいれば、非医療サービスの提供は認められている。

 博士は英大衆紙メール・オン・サンデー(Mail on Sunday)に対し、2013~16年にかけて、患者らがスイス・チューリッヒ(Zurich)にある自殺ほう助クリニック「ディグニタス(Dignitas)」を訪れる前に精神鑑定を行ったことを明らかにしている。

 英国では、刑事犯罪として最高14年の実刑が科される自殺ほう助だが、スイスでは合法だ。

 認知症を患っていた6人は全員、ブリューワー博士と会ってから3か月以内に死亡している。5人はディグニタスの施設で、残る1人はバーゼル(Basel)にある「ライフサークル(Life Circle)」という別のクリニックで命を絶った。このうちの一人、高名な科学者のジョン・フェイヤーズ(John Fayers)教授は、83歳だった2013年に致死量の精神安定剤を飲んで自殺した。

■意思能力低下患者の自殺ほう助「危険な傾向」

 自殺ほう助に反対する運動家らは、意思能力が低下した個人が自殺できるようにするのは「極めて危険だ」と主張する。

 英国の終末医療の分野で最も著名な医師の一人で女性男爵のイローラ・フィンレー(Ilora Finlay)氏は、認知症がそれ以上進行しない可能性がある場合でも、患者は命を絶つ危険性があると指摘している。

 また 安楽死に反対する英団体「ケア・ノット・キリング(Care Not Killing)」のアリスター・トンプソン(Alistair Thompson)氏も、「意思能力の低下した人々が自殺できるようにしていくことは極めて危険な傾向だ」と警鐘を鳴らしている。

 死ぬ権利を擁護する団体「マイ・デス・マイ・ディシジョン(My Death My Decision、私の死は私の決断)」の共同代表も務めているブリューワー博士も、認知症患者に自殺を決断する能力がないとして、通常は認知症患者の精神鑑定を断っていると述べた。

 その一方で博士は、「意思能力の評価を行うのに医師である必要はない。医師であれば役には立つが、必須ではない」とメール・オン・サンデー紙に語っている。【翻訳編集】AFPBB News

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最終更新:1/24(火) 16:26
The Telegraph