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生涯労働は幸せ? 「高齢者は75歳から」提言は、社会保障見直しの根拠にも

1/27(金) 8:30配信

THE PAGE

 現在は65歳以上と定義されている「高齢者」について、75歳以上にすべきという提言が発表されました。医療の進展により日本人は若くなっているというのがその根拠ですが、背景には医療費や公的年金の抑制といった財政上の課題があると考えるのが自然でしょう。もし75歳以上が高齢者ということになれば、事実上、日本は生涯労働が前提の社会ということになります。

高齢者の定義が現状に合わなくなっている?

 日本老年学会・日本老年医学会のワーキンググループは5日、現在は65歳以上となっている高齢者の定義を改め75歳以上にすべきとの提言を発表しました。

 提言では、65歳以上という高齢者の定義には医学的な根拠はなく、高齢者の定義が現状に合わなくなっていると指摘。近年の高齢者のデータについて検討したところ、10~20年前と比較して、加齢に伴う身体的な機能変化の出現が5~10年遅れており、若返りが進んでいるとの分析結果を得ました。特に65歳から74歳の年齢層については、活発な社会活動が可能だということです。

 こうした分析を受けてワーキンググループは、高齢者の定義を改め75~89歳を高齢者に、90歳以上を超高齢者と定義すべきと結論付けました。これまで高齢者として区分されていた65~74歳の人は準高齢者となり従来の高齢者の区分からは外れることになります。

社会保障制度の見直しの理論的な根拠に?

 この提言はあくまで医学的なものですが、それだけにとどまるものではありません。日本では高齢化の進展によって国民医療費が急増し医療財政は逼迫しています。また公的年金も慢性的な赤字となっており、このままでは年金財政がさらに厳しくなる状況にあります。現役世代の負担をこれ以上、増やすわけにはいきませんから、高齢者への給付を削減する必要があるわけです。

 高齢者の定義を見直し、従来であれば「扶助を受ける側」だった人をその対象から外せば、財政状況はかなり改善します。今回の提言はいずれ、社会保障制度の見直しの理論的な根拠となることはほぼ間違いないでしょう。

 日本では以前から人口減少の問題が指摘されていましたが、人口が本格的に減少するのはむしろこれからです。また過去10年は若年層人口の比率が大きく低下してきましたが、今後20年は働き盛りの年齢層の比率低下が顕著となってきます。

 若年層人口の減少は飲食店などの人手不足という問題を引き起こしましたが、同じような問題が一般的な業務に及んでくる可能性があります。今までは高齢者だった人も働き続けないと、業務を回せない会社が出てくることも予想されますから、生涯労働はもはや必至の状況です。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2/1(水) 17:09
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