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対馬から盗まれた仏像 韓国寺院に所有権の根拠は? 

聯合ニュース 1/26(木) 15:30配信

【ソウル聯合ニュース】韓国・大田にある文化財庁の国立文化財研究所には所有者のいない高さ50.5センチ、重さ38.6キロの仏像1体がある。韓国人の窃盗団が2012年、長崎県対馬市の観音寺から盗んで韓国に持ち込んだ「観世音菩薩坐像」だ。

 朝鮮半島の高麗末期の14世紀初めに作られたとされる同像は、衆生に慈悲を施す菩薩である観世音菩薩が両方の足を反対側の太ももの上に乗せる「結跏趺坐(けっかふざ)」の姿をしたもので、高麗末期の菩薩像のうち、最高水準の芸術的な価値を持っているとされる。

 窃盗団が対馬から持ち込んだ仏像2体のうち、「銅造如来立像」は韓国で所有権を主張する人がなく、15年7月に海神神社に返還された。

 だが、観世音菩薩坐像は仏像の中から「1330年ごろ浮石寺に奉安された」との記録が見つかったため、韓国中部の忠清南道・瑞山にある浮石寺が所有権を主張した。観音寺も仏像を盗まれたのは明白なため、早期の返還を要求した。

 約5年にわたり所有権争いが続く中、浮石寺が像を保管する政府を相手取り観世音菩薩坐像の引き渡しを求めた訴訟で韓国の大田地裁は26日、仏像を浮石寺に引き渡すよう命じる判決を下した。

 韓国の文化財保護法は国内に搬入された文化財が違法に海外に持ち出された事実を認められる相当の理由がある場合、その文化財を留置できると定めている。一方、合法的に搬出された場合は速やかに所有者に返還するよう規定している。

 観世音菩薩坐像の場合は韓国から日本に持ち出された経緯が最も大きな争点となった。

 浮石寺は14世紀に倭寇(わこう)が朝鮮半島の西海岸に頻繁に出没したことから、略奪された可能性が高いと主張してきた。一部の学者は観音寺の歴史を記した記録に倭寇が罪を懺悔(ざんげ)するため、寺を建てたとの内容があることや、仏像の指と袈裟(けさ)に燃えた跡があることを略奪の根拠として示した。

 ただ、双方も仏像がいつ、どのような方法で朝鮮半島から対馬に渡ったかを解明できなかった。文化財庁も調査報告書で、「観世音菩薩坐像は倭寇によって略奪された可能性があるが、断定は難しい」とした。

 だが、地裁は「浮石寺の所有だと十分に推定される」として、「歴史・宗教的な価値を考慮した際、仏像の占有者は原告の浮石寺に引き渡す義務がある」と言い渡した。

 浮石寺の所有権を主張してきた東国大の文明大(ムン・ミョンデ)名誉教授は判決について、「当然の帰結」とした上で、「観音寺の事蹟記は歴史的な記録のため、観世音菩薩坐像は略奪品に間違いない」と述べた。

最終更新:1/26(木) 15:52

聯合ニュース