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豊洲の移転コストが明らかに、他市場の補填でプラスマイナスゼロはありか?

1/28(土) 9:00配信

THE PAGE

 移転問題が議論されている豊洲市場について東京都が初めて総コストの試算を行いました。建物の減価償却を考慮に入れない場合でも年間30億円の赤字になることが明らかになったのですが、この数字についてはどう考えればよいのでしょうか。

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他市場との補填でプラスマイナスゼロはありか?

 事業用の施設は、建設にかかる費用はもちろんのこと、施設を維持管理する費用も大きくなります。このため、民間企業では、施設を利用するすべての期間における総コスト(ライフサイクルコスト:LCC)を算出し、費用の妥当性について検証を行うのが一般的です。しかし官公庁の会計にはこうした概念は存在せず、毎年の支出を都度議論するだけというのが現実です。このため豊洲市場についてもライフサイクルコストという観点でのしっかりとした試算は行われてきませんでした。

 東京都の試算によると、豊洲市場の水道光熱費や修繕費などを含めた年間経費は約100億円で、これに対して収入は約70億円しかなく毎年30億円の赤字が出ることが分かりました。一方、現行の築地市場は温度管理など高度な設備がない分、低コスト体質になっており、これまでのところ黒字経営が続いています。これは建物の減価償却を加えない数字ですが、減価償却を加えた場合には、豊洲の赤字は約100億円となり、築地との差はさらに拡大します。

 東京都では大田市場など他の市場の利益を補填することで全体としては収支をプラスマイナスゼロに抑えられるとしています。しかし、他の市場の利益を豊洲に補填し続けるという図式については議論を呼びそうです。

60年間市場運営のコストは約7700億円

 土地の取得費用や土壌汚染対策などすべてのコストを含めたライフサイクルコストということになると金額はさらに大きくなります。東京都では建設費以外にも、土壌汚染対策として860億円、関連工事費として421億円、用地取得に1859億円を投じています、これらの費用と毎年の赤字額を累積すると、60年間市場を運営した場合のコスト総額は約7700億円と計算されます。

 民間の施設と異なり公共施設は単純に費用の多寡でその妥当性を決めるものではありませんが、こうした議論がこれまで行われてこなかったというのは、やはり問題でしょう。もっとも、ライフサイクルコストを考えない支出というのは、一般的な公共事業も同じです。

 現在、予算不足から全国各地で道路など公共インフラの維持管理レベルが低下していますが、これは完成後のコストを考えずに建設を進めてきた結果です。しかしこうした支出はすべて議会(国会)の決議を経て行われていますから、最終的には市民(国民)が判断したものということになります。わたしたちは官公庁のお金の使い方についてもっと関心を持った方がよいでしょう。

(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2/1(水) 16:59
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