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デヴィッド・ボウイ大回顧展が開幕 V&Aキュレーターが語る音楽系企画展のカギ

オリコン 1/30(月) 7:00配信

 デヴィッド・ボウイの世界観やキャリアを総括した、大回顧展『DAVID BOWIE is』が1月8日に開幕した。同企画展では、4月9日までの期間、彼が所有していた衣装など7万5000点に及ぶ所蔵品の中から厳選した300点以上の貴重な品々を展示。訪れたファンからも絶賛の声が次々と上がり、オープン日から連日盛況となっている。

【写真】300点以上に及ぶ貴重な品々を展示

◆世界9都市で約150万人を動員した企画展がアジア初上陸

 この回顧展は13年に、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(V&A)が企画・開催し、その後、世界9都市を巡回。これまでに約160万人を動員した展示会で、アジアでの開催は今回が初となる。企画したV&Aは芸術とデザインを専門分野とし、そのコレクションの質と内容の豊富さにおいて世界に並ぶものがないといわれている。同館のキュレーター、ヴィクトリア・ブロックス氏は「数年前から1人のアーティストを取り上げた展示会を検討しており、その候補リストのトップにいたのがデヴィッド・ボウイでした」と語る。

 ただし、この時点ではボウイが、自身にまつわるアイテムや音源、写真のほか、ノートの片隅に書かれたメモ書きやイラストまで、7万点を超える資料を残していることは知らなかったという。企画を進める過程で、この膨大なアーカイブの存在を知り、企画展の骨子が固まった。

 「彼ならではの物語を伝えることで、今を生きる人に何らかの感動を与える展示会にしたいと考えました。彼が受けた影響源というものは非常に幅広く、多彩です。日本の歌舞伎、ドイツの表現主義、さらにもっと残酷な描写のあるものなど、非常に前衛的なものも多いです。ですからこの展示会では、彼がどういったところからアイデアを得て、そしてそれをどういったプロセスで創作していったのか、さらに出来上がった彼の作品は、他のアーティスト、ミュージシャン、一般のリスナーにどういった影響、衝撃を与えたのかをしっかり伝えたいと思いました」

◆音楽だけでなく、いかに幅広い観点で取り上げられるか?が大切

 V&Aでは今回の展示会のほかにも、これまでに、市民権運動とカルチャーに焦点を当てた、モータウンに関する企画展「The Story of the Supremes」や、アニー・レノックスの企画展「The House of Annie Lennox」を開催。現在も、60年代後半の社会変革の中で、密接にかかわっていた音楽に焦点を当てた「You Say You Want a Revolution? Records and Rebels 1966-1970」を開催している。

 「V&Aとしては、音楽だけでなく、文化的な側面など、いかに幅広い観点で取り上げられるかということが大事だと考えています。また、同じように音楽に関する展示会でありながら、すべてが同じなわけでは決してありません。取り扱っているものによって、やはり伝える物語というのは変わってきます。モータウンに関する企画展では、市民権運動に焦点を当て、アニー・レノックスに関しては創造性に焦点を当てました。そして今回のボウイに関しては、彼の作品におけるテーマに寄り添い、まさにV&Aが扱う、アート、デザイン、パフォーマンスという点をしっかり伝えていくことに焦点を当てています。つまり、音楽にまつわるものでも、通常の企画展と同様に、その根底にある物語を、どう伝えていくのかが大切だと考えています」

 ブロックス氏は、今年、ピンク・フロイドの企画展も計画していると明かす。世界有数の博物館と、そこで活躍する一流キュレーターが手がけた、「DAVID BOWIE is」。訪れた人たちが、ボウイの世界観に没入し、音楽を楽しむ姿は、“音楽×エキシビション”の大きな可能性も示唆している。

(コンフィデンス 17年1月30日号掲載)

最終更新:4/20(木) 15:28

オリコン