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「驚き桃の木20世紀」を即座に英訳する通訳の腕前、裏話に見る厳しさと魅力

2017/1/31(火) 11:54配信

THE PAGE

 通訳者は、一体どのようなプロセスで言葉を訳しているのだろうか。橋本さんによると、発言者が発言を区切ったところで通訳する「逐次通訳」の場合、まず、発言者の言葉を正しく聞き取り、理解する。その言葉を一時的に記憶して頭の中でビジョンを描くとともに、数字や固有名詞などをメモする。話が区切られたら、ビジョンとメモを使って単語を選び、文章にして訳を話す。発言者の話をほぼ同時に通訳する「同時通訳」なら、そのプロセスを短縮する。

 難しいが、やりがいがあるのは、四字熟語や慣用句など日本語特有の表現の英訳。「センスが問われますが、うまくいけば印象に残りやすいので、腕の見せどころです」。言葉通りではなく全体の意味を理解して訳する「意訳」が上手かどうかが勝負になる。

 たとえば、「朝飯前」。当然、“before breakfast”ではない。極めて簡単だ、という意味なので、“very easy”あるいは“child's play”と訳す。ほか、「地産地消」は、“made in market”、「風通しの良い」は“open and communicative”あるいは“free and transparent”といった具合だ。
 
 ピコ太郎さん会見では、ギャグや韻を踏んだダジャレに大変苦労したという。それでも、「ありが玉置浩二」という言葉は、“arigato, or ariga-tamaki-kouji”と訳すなど、極力対応できたが、「驚き桃の木20世紀」という言葉に対しては、“I'm so surprised, like a peach tree, ”までは訳したものの、そこで止まってしまった。

 橋本さんは、その時メモが読めなかったことを率直に告白するとともに、「通訳はスピードが命です。完璧を目指しますが、制限時間内で最善と思われる訳を即決しなければなりません。それが難しさであり、魅力でもあります」と話す。

 後からゆっくり調べれば、もっと適した訳がみつかるかもしれないが、通訳の現場はそれが許されない。「200%の準備をして、120%の集中力で臨んでも、100点はなかなか出せないんです」。あの言葉は何と訳せばよかったのか、と終わった後に考え込んでしまう時もある。

 精神的な消耗も激しい。仕事の後に集中力が落ちてしまい、はっと気がつくと、乗る予定だった電車とは反対方向の電車に乗ってしまったケースもたびたびある、と橋本さんは笑った。

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最終更新:2018/10/3(水) 13:26
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