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【世界の野球12】ヤジと差別用語が飛び交う試合で打った、一本のヒット

1/31(火) 12:09配信

THE PAGE

【連載・色川冬馬の世界の野球~アメリカ編(12)~】
 選手としてアメリカの独立リーグやプエルトリコ、メキシコのリーグでプレーし、その後代表監督としてイラン、パキスタンを指揮した色川冬馬さん(27)の連載。これまでの経験を通じて世界各地の野球文化や事情を紹介するとともに、日本野球のあるべき姿を探っていく。

《前回までのあらすじ》
大学4年で再びアメリカ独立リーグとの契約に挑戦し、晴れて米テキサス州「リオグランデバレー・ホワイトウィングス」と契約した色川さん。チームのムードメーカーとして充実した日々を送っていたが、2012年6月の終わりに監督から突然解雇を言い渡された。

激しいヤジと差別用語が飛び交う中で

 2012年の夏、球団を解雇されて、居場所を失った私はアメリカ人の野球仲間の厚意で、テキサス州オースティンにいた。いつまでここに身を置かせてもらえるか分からなかったが、前へ進むしか選択肢はなかった。そして、その街の野球関係者の厚意で、地域の若者が集うサマーリーグの試合に参加させてもらっていた。ある日の試合、あまり外国人に対して免疫のない街だったのか、その試合はヤジが飛び交い荒れていた。その中で唯一のアジア人である私は、やんちゃな若者がヤジを飛ばすのに格好の標的になっていた。

 しかし、その時の私は不思議と落ち着いていたのを覚えている。私は、「今この環境が何を意味しているのか」を考え、野球ができる環境に感謝し、グランド、審判、相手選手への敬意をはらうことを、いつも以上に集中して行った。私が打席に入っていた時、突然、数人の相手ベンチにいた選手が退場になった。理由は、私への差別用語を発したためらしい。私は、打席に集中していたので聞こえなかったが、あまりの暴言に審判が退場にしたそうだ。学生の試合だというのに、ケンカのような雰囲気になっていった。不思議と私の集中力は増し、直後の打席で私はきれいにセンターへヒットを放った。私にとっては、環境や空気に流されない収穫のあるヒットになった。

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最終更新:2/1(水) 16:40
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