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「まちがった薬物報道はもうやめて」 専門家、当事者は声をあげる

1/31(火) 17:23配信

BuzzFeed Japan

いい加減な薬物報道が誤解や偏見を助長している--。2016年、有名歌手や、元プロ野球選手など有名人の逮捕のたびに、薬物依存症に関する報道が多く出回った。明らかな間違いや、思い込みを前提にした報道を防ぐために。専門家と当事者が、正確な報道のためのガイドラインを作った。【石戸諭 / BuzzFeed】

「依存症については、逮捕される犯罪という印象だけでなく、医療機関や相談機関を利用することで回復可能な病気であるという事実を伝えること」
「『人間やめますか』のように、依存症患者の人格を否定するような表現は用いないこと」

ガイドラインは、望ましいこと編・避けるべきこと編あわせて17項目が並んでいる。2017年1月31日。東京・霞が関、厚生労働省の記者クラブであった記者会見で発表された。

参加したのは、国立精神・神経医療研究センターの精神科医・松本俊彦さん、依存症患者の支援に関わるダルク女性ハウス代表の上岡陽江さんら、医師や当事者、そして評論家の荻上チキさんだ。

きっかけは、荻上さんがパーソナリティーを務めるTBSラジオの番組「荻上チキ・Session-22」だった。

荻上さんと松本さんのあいだで、学術的な知見を盛り込んだ報道ガイドラインを作ろうという話があがり、具体化にむけて動き出す。専門家や支援に関わる当事者、リスナーの意見も取り込み、ガイドラインをまとめた。

薬物依存症報道、最大の問題は病気と捉えていないこと

薬物依存症報道の最大の問題は、報道する側の多くが依存症を病気として捉えていないことだ。そのため、患者の回復を遠ざけ、追い詰めるような報道がまかり通っている。

例えば、元有名プロ野球選手の事例。

フジテレビの番組で、大物タレントがテレビの前で(覚せい剤を)「やっていない」とウソをついていた、「この罪は覚せい剤より重い」と糾弾するようなコメントをしたことに注目が集まった。

当時、松本俊彦さんは私の取材にこんなことを言っていた。

薬物依存の本当の怖さは、その人の本質そのものが変わるところにある。

クスリが優先順位の1番になり、そのためにウソもつくようになる。「依存症患者の言葉と涙は信じるな」と現場では言われている。そして、本当に苦しむのは、騙している本人だ。

「甘い言葉は必要ない。厳しい言葉が必要だ」「反省させればいい」「周囲の手助けがあるのにクスリに手を出すのは気持ちが弱いからだ」。

必ずといっていいくらいコメンテーターから発せられる、こんな言葉も間違いだ、と松本さんは言っている。
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だいたい、反省の有無は回復には関係ないんですよね。反省して生活が立ち直るなら、それでいいのですが、そういう調査結果はありません。逆に反省を強要すると、もっとウソつきになるんですよね。

刑務所にいれば、早く仮釈放されたいから簡単に反省するんです。

本当は覚せい剤をやりたいのに「やりたくない」と言う。あるいは意志を強く持てば大丈夫だと思うようになる。「今度はやらないと決めました」とか「強い気持ちで断ちます」とか言うようになるんです。

でも、気持ちで解決できるほど、依存症って甘くないんです。

(中略)簡単に脳が忘れないんですよ。

でも、彼らはうっかり「やりたい」と思ったら、周囲から「意志が弱い」「性格が弱い」って言われるのではないかと思っている。またクスリに手を出すと「意志」の問題だと片づけられる。
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それなのに、意志の弱さやウソを糾弾するコメントが出回る。薬物依存症患者の奇行を笑い、回復の機会そのものから遠ざけていく。

イメージ映像で流れる、白い粉や注射器の映像をみることで、クスリへの欲求が高まる患者も少なくないのに、延々と流れる。

有名歌手のときはタクシーのなかの映像が出回ったり、なぜか本人の作品が許可なく放映されたりすることもあった。

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最終更新:1/31(火) 17:39
BuzzFeed Japan