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鴻海が米国に新工場建設、鴻海はどんな戦略を描いている?

2/2(木) 9:00配信

THE PAGE

 シャープを買収した台湾の鴻海精密工業が、米国への巨額投資を表明しました。8000億円を投じ、米国内に液晶パネルの新工場を設立するというものです。鴻海はどのような戦略を描いているのでしょうか。

孫氏が鴻海とトランプ氏を仲介した可能性が高い

 鴻海精密工業の郭台銘(テリー・ゴウ)会長は1月22日、米国に液晶パネルの新工場を建設する意向を明らかにしました。投資額は約8000億円で、この投資には米アップルも参加するそうです。鴻海が米国に大型の工場を建設することは、市場ではある程度予想されていました。その理由はソフトバンクの孫正義社長がトランプ新大統領と会談した際、孫氏が鴻海とトランプ氏を仲介した可能性が高いからです。

 トランプ氏は選挙期間中からアップルとiPhoneの製造を一手に引き受ける鴻海に対して、米国内の雇用を奪っているとして厳しく批判してきました。ここに助け船を出したのがソフトバンクの孫正義社長です。孫氏はトランプ氏が大統領選挙に当選するとすぐにトランプ氏を訪問し、500億ドル(約5兆7000億円)の投資と5万人の雇用確保を約束しました。

 実はこの時、孫氏は鴻海の米国投資計画についてもトランプ氏に説明しているのです。孫氏が提示したプレゼン資料の中には、しっかりと鴻海の名前が記されており、70億ドルの投資と5万人の雇用を生み出すとの記述もありました。この資料がカメラに映っていたことから、市場関係者の多くは、近く鴻海が米国への投資を決断すると予想していたわけです。

液晶パネルは供給過剰にならないか

 ただ、鴻海は昨年末、中国に約1兆円を投じて大型の液晶パネル工場を建設すると発表したばかりです。このような大型投資が続くと、液晶パネルの供給が過剰となり、再び値崩れするのではないかとの懸念が出てきています。もっとも今回の投資にはアップルも参加する見込みであり、一部からはアップルが家電の製品化に乗り出すのではないかと予想する声も出ています。こうした事情があれば、供給過剰という問題も回避できるのかもしれません。

 トランプ氏は就任後、立て続けに保護貿易的な政策を実施しており、IT各社は戦々恐々となっています。1980年代、米国は日本企業の輸出攻勢に対して米国の雇用を奪っていると激しく非難し、貿易摩擦が発生しました。日本メーカーは政治問題化を避けるため、米国の現地生産を強化することになりましたが、これが結果的に日本メーカーのグローバル化を後押ししました。歴史は繰り返すのだとすると、トランプ氏の保護貿易的なスタンスは、中国(台湾)企業のグローバル化を促す可能性があるでしょう。


(The Capital Tribune Japan)

最終更新:2/8(水) 20:14
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